AI時代が進む中、化石燃料の利用が再び注目されています。インド政府は、AI企業が主要なガス生産地の近くに大規模なデータセンターを建設し、化石燃料を直接利用して電力を生成していると発表しました。これにより、地域社会に影響を及ぼす可能性があるということです。
最新の例として、AIコーディングアシスタントのスタートアップ企業であるプールサイドが、テキサス州西部に500エーカー以上の敷地にデータセンターを建設中であると、ウォールストリートジャーナルが報じました。この施設は、米国最大の石油・ガス田であるパーミアン盆地から天然ガスを利用して電力を生成する方針です。
このプロジェクト「ホライゾン」は、2ギガワットのコンピューティングパワーを生み出す予定です。これはフーバーダムの全電力容量に匹敵しますが、フーバーダムがコロラド川を活用するのに対し、こちらはフラッキングガスを燃焼させるということです。プールサイドは、クラウドコンピューティング会社のCoreWeaveと共同でこの施設を開発しており、NvidiaのAIチップへのアクセスを提供しています。
プールサイドだけでなく、ほとんどの主要なAI企業が同様の戦略を追求しています。先月、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、テキサス州アビリーンにある同社の旗艦データセンター「スターゲート」を訪れ、そこで「このデータセンターを運営するためにガスを燃やしている」と率直に述べました。
この複合施設は、8つの建物で約900メガワットの電力を必要とし、新しいガス火力発電所がバックアップ電力を提供する方針です。しかし、地元の住民はこれに不安を感じています。特に水供給への影響が懸念されています。
また、Metaもルイジアナ州で1兆6500億円(約100億ドル)規模のデータセンターを建設する計画です。この施設は計算用に2ギガワットの電力を必要とし、エンタージー社が3つの大規模な天然ガス火力発電所を建設する予定です。
一方で、AI企業はこの動きにより中国に対抗することを目指しているとしています。OpenAIのグローバルアフェアーズ担当副社長であるクリス・レヘイン氏は、AIの電力需要に対応するために新しい発電所の建設が必要であると述べています。
トランプ政権もこれを支持しており、ガス火力AIデータセンターの環境許可を迅速化する大統領令を発表しました。これにより、化石燃料プラントの建設が加速すると見られています。
このような動きが続く中、地域住民や環境への影響が懸念されています。データセンターの電力需要を柔軟に調整することで、よりクリーンなエネルギーへの移行が可能になるとする意見もありますが、現状では化石燃料依存が続く見通しです。
