ソフトウェア開発の現場でAIツールの導入が進む中、生成されるコードの量は増加しているものの、後日の修正作業が急増し、実質的な生産性の向上にはつながっていないとする調査結果を、複数の分析企業がまとめたと発表しました。
ソフトウェアエンジニアの生産性を測る指標は長年議論されてきましたが、AIによるコーディング支援ツールの普及により、新たな課題が浮上しているということです。アメリカのIT業界などでは、開発者が消費するAIの処理能力、いわゆる「トークン」の多さを誇る傾向が見られますが、専門家はこれを生産性の指標とすることに疑問を呈しています。
開発者の生産性を分析する企業などの調査によりますと、「Claude Code」や「Cursor」などのAIツールを使用する開発者は、従来よりも多くのコードを生成しているということです。しかし、生成されたコードの多くは後日修正が必要となり、結果として生産性の向上を妨げているとしています。
生産性分析プラットフォームを提供する「Waydev」のCEO、アレックス・チルチェイ氏によりますと、AIが生成したコードの初期の承認率は80%から90%に達するということです。しかし、その後の数週間でエンジニアが修正を行う割合が高く、実質的な承認率は10%から30%にとどまるとしています。
こうした状況を受け、Waydevは過去半年間で自社のシステムを大幅に改修する方針をとりました。AIエージェントが生成するデータを追跡し、コードの品質やコストを分析する新たな機能の提供を開始し、開発現場の管理者がAIの導入効果を正確に把握できるようにする方針です。
大手企業もこの課題に注目しており、ソフトウェア開発支援大手の「アトラシアン」は昨年、開発者の生産性を分析するスタートアップ企業「DX」を10億ドル(約1,550億円)で買収しました。AIツールの投資対効果を明確にする狙いがあるということです。
業界全体のデータも同様の傾向を示しています。「GitClear」が1月に発表した報告書によりますと、AIツールを日常的に使用する開発者は、使用しない開発者と比較して、コードの破棄率が平均で9.4倍に達したということです。また、「Faros AI」の報告でも、AIの導入が進んだ環境ではコードの破棄率が861%増加したとしています。
さらに、分析プラットフォームの「Jellyfish」が約7,500人のエンジニアを対象に行った調査では、AIの利用量が最も多いエンジニアはコードの変更提案を多く作成したものの、生産性の向上は比例しなかったということです。10倍のコストをかけても、処理量は2倍にとどまったとしています。
開発現場では、経験の浅い若手エンジニアほどAIが生成したコードをそのまま受け入れる傾向があり、結果として修正作業が増加しているということです。
一方で、チルチェイ氏は「これはソフトウェア開発の新たな時代であり、企業は適応を迫られています。この流れが元に戻ることはないでしょう」と述べ、課題を抱えながらもAIツールの活用は今後も不可欠になるという見方を示しています。
