マスク氏が率いるブレイン・コンピュータ・インターフェース企業Neuralinkは、AIモデル「Grok」を人間の脳に直接接続する技術を開発したと発表しました。これにより、ブレイン・コンピュータ・インターフェースは「思考でカーソルを動かす」段階から、「思考でAIを操作する」段階へと移行しつつあるとしています。
ポイント
- NeuralinkがAIモデルGrokを脳に直接接続
- エンジニアが被験者の自宅に住み込み、72時間で8つの新技術プロトタイプを開発
- 被験者はALSと診断されて7年になるKenneth氏(P21臨床試験の患者)
- 思考だけでGrokエージェントを呼び出し、画面操作を自動実行
- 脳波から合成した音声でiPhone通話が可能に
72時間の集中開発
Neuralinkのエンジニア数名が被験者の自宅に住み込み、72時間の集中開発を行いました。この取り組みで、8つの新しい技術プロトタイプが一気に開発されたということです。
被験者のKenneth氏は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されて7年になるP21臨床試験の患者です。病気に直面しても前向きな姿勢を保っているとされます。
72時間で生まれた成果は、神経信号の捕捉にとどまらず、システムレベルの操作や大規模言語モデル(LLM)との連携にまで広がりました。
主な新機能
神経音声活動検出(Neural VAD) これまでは、思考で話そうとする際に手動でスイッチを押す必要がありました。新システムは脳波信号をリアルタイムで監視し、患者が話そうとしているのか安静状態なのかを自動で判別します。意図を捉えるとミリ秒単位でデコードを開始し、話し終えると自動で停止します。ボタン操作なしの「思考だけで話す」が可能になったということです。
リアルタイム神経信号の可視化 インプラントが検出した信号の強度と空間分布をリアルタイム映像として患者に提示します。患者は視覚的なフィードバックを通じて、デコーダーを訓練・適応させることができます。
スマートフォン向け入力とロック画面連携 言語デコードシステムをスマートフォンに組み込み、カフェでの注文テストも完了しました。AppleのiOS基盤インターフェースを利用し、「リアルタイムアクティビティ」とダイナミックアイランドの仕組みを組み合わせています。患者はスマートフォンのロックを解除せずに、ロック画面のまま思考だけで発声できるとしています。
Grokエージェントと思考による通話 患者が頭の中で「Hey Neuralink」と念じ、続けてタスクを思い浮かべると、パソコン上のGrokエージェントが起動します。Grokが画面を引き継いで操作を実行し、単一の意図を一連の複雑な操作に変換します。さらに、デコードで生成した音声をiPhoneの通話マイクの音声ストリームに直接接続しました。Kenneth氏はこれにより、思考で妻に電話をかけることに成功したということです。
背景と意味
業界分析によると、ブレイン・コンピュータ・インターフェースのこれまでの最大の課題は帯域幅の制約でした。GrokのようなAIエージェントを導入することで、脳は核心的な意図を出力するだけでよくなり、煩雑な手順の分解やインターフェース操作はAIに任せられます。Neuralinkは、今回の成果が人間と機械の協調に向けた重要な一歩だとしています。