Anthropicは、新たな最高技術責任者に元Stripe CTOのRahul Patil氏を任命したと発表しました。Patil氏は今週初めに同社に加わり、共同設立者のSam McCandlish氏から引き継ぎました。McCandlish氏は新たに主任アーキテクトとしての役割を担うことになります。
今回の人事に伴い、Anthropicは技術グループの構造を見直し、製品エンジニアリングチームをインフラや推論チームとより密接に連携させる方針です。CTOとして、Patil氏はコンピュート、インフラ、推論、およびその他のエンジニアリング業務を監督します。一方、主任アーキテクトの役割では、McCandlish氏が事前学習や大規模モデルのトレーニングに取り組むということです。両氏ともAnthropicの社長であるDaniela Amodei氏に報告することになります。
この新たな指導体制は、OpenAIやMetaのAIラボがコンピューティングインフラに数十億ドル(数兆円)を投資する中で、Anthropicが激しいインフラ競争に直面しているという背景があります。MetaのMark Zuckerberg氏は、2028年末までにアメリカのインフラに6000億ドル(約93兆円)を投資する計画を表明しています。また、OpenAIもOracleやStargateプロジェクトを通じて同様の額を契約しています。Anthropic自身のインフラ投資の規模は明確ではありませんが、速度と電力消費の両面でインフラを最適化することが求められるということです。
同時に、AnthropicのClaude製品の人気により、同社のインフラは既に大きな負荷を受けています。7月には、パワーユーザーを考慮してClaude Codeに新たなレート制限を導入しました。新しいルールの下では、ユーザーはインフラの負荷に応じて、Sonnetの使用が週に240〜480時間、Opus 4の使用が24〜40時間に制限されるということです。
Patil氏は20年以上にわたるエンジニアリングの経験を持ち、Anthropicにとって重要なインフラ経験をもたらします。以前はStripeで5年間技術職を務め、OracleではクラウドインフラのシニアVPとしての経験があります。また、AmazonやMicrosoftでもエンジニアリングの役割を果たしてきました。
声明の中で、Amodei氏はPatil氏の企業向け安定インフラ構築の経験を強調しました。「Rahul氏は、企業が必要とする信頼性の高いインフラを構築し、スケールする実績を持っています」と述べ、Claudeの地位を強化することに期待を寄せています。
Patil氏も声明で、Anthropicの研究とAI安全への取り組みを称賛しました。「AI開発のこの重要な時期にAnthropicに参加できることを非常に嬉しく思います」と述べ、同社での仕事が「最も重要な仕事だと感じており、これ以上の使命と責任は考えられません」と付け加えました。
