アップルが製作した映画『F1』が劇場でヒットを記録し、同社の映画戦略において重要な成果を上げたと発表しました。
アップルはこれまでApple TV+向けに批評家から高い評価を受け、受賞歴のある映画を製作してきました。特に『コーダ』はストリーミングサービスによる作品で初めてアカデミー賞作品賞を受賞した映画です。
しかし、劇場での興行収入はこれまで期待を下回ることが多く、『アーガイル』では大きな失敗に終わりました。昨年、アップルは予算と劇場公開を縮小する方針を決定し、プロジェクトのキャンセルや監督からの批判を招くことになりました。
そんな中、映画『F1』が劇場での成功を収めています。現在、国内での週末興行収入は5560万ドル(約86億円)を見込んでおり、全世界でのチケット売上は1億4400万ドル(約223億円)に達しています。『ナポレオン』の2億2800万ドル(約354億円)を超えるアップルの最高興行収入作品となる見込みです。
『F1』の監督は『トップガン マーヴェリック』を手掛けたジョセフ・コシンスキー氏で、新作はリアルな撮影技術とベテランと若手の協力を描く物語を組み合わせた内容です。
『F1』は米国でワーナー・ブラザースが配給しており、Netflixのドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』の影響で人気が高まるフォーミュラ1レースの勢いを受けています。多くのシーンが実際のレースで撮影され、ドライバーのルイス・ハミルトン氏もプロデューサーとして参加しています。
アップルのティム・クックCEOは、バラエティ誌の表紙でハミルトン氏と共演し、同社のカメラ技術など独自の要素を映画に取り入れたと述べました。さらに、同社全体でこの作品を支援する計画であるとしています。
アップルの賭けが成功しているように見えますが、2億ドル(約310億円)以上の予算をかけた『F1』が劇場で利益を上げるかどうかはまだ不明です。公開前には、ある興行収入アナリストがこの映画が成功しても、Apple TV+のオリジナルコンテンツの高価な宣伝になる可能性があると指摘していました。