アメリカのIT大手アップルは、スマートフォンの「iPhone」のデータを完全に消去するため、空のデータでストレージ全体を上書きする新たな機能を導入する方針であることがわかりました。開発者向けに公開された最新の基本ソフト「iOS 27.2」のテスト版の記述から明らかになったということです。
新たな機能では、端末のデータを消去する際、現在使用されていない領域も含めて、ストレージ全体を空のデータで上書きすることが可能になります。一方でアップルは、この処理には通常の初期化よりも時間がかかり、端末の寿命に影響を与える可能性があるとしています。
現在の仕様では、iPhoneを初期化するとデータを保護する暗号化キーが破棄され、残されたデータには実質的にアクセスできなくなる仕組みとなっています。アップルも公式のサポート文書において、この方法によりユーザーデータは暗号学的に読み取れなくなると説明しています。
今回明らかになった新機能は、現在のところ中国で販売される端末のみに導入される見通しです。中国政府が2027年1月1日から施行する新たなデータ保護の基準に対応するための措置とみられています。
中国の新たな基準では、スマートフォンなどの電子機器に対し、データを上書きするなどの方法でより完全に消去する手段を設けることが義務付けられます。フラッシュメモリーなどの半導体ストレージにおいては、ユーザーデータを含む領域を無意味なデータで少なくとも1回上書きすることが承認された方法の一つとされており、アップルの新機能はこの要件に沿ったものとなっています。
また、この新たなデータ消去の選択肢はiPhoneに限定されず、タブレット端末の「iPad」やスマートスピーカーの「HomePod」、ゴーグル型端末の「Apple Vision Pro」など、他の自社製品にも順次対応していく方針だということです。
