アメリカのIT大手アップルの研究チームは、タンパク質のアミノ酸配列と立体構造を同時に生成できる新しいAI(人工知能)モデル「SimpleDesign」を開発したと発表しました。
研究チームは去年9月、アミノ酸配列からタンパク質の立体構造を予測するモデル「SimpleFold」を発表しています。このモデルは、画像生成などで用いられる「フロー・マッチング」という技術と、テキスト生成で一般的な「トランスフォーマー」と呼ばれる仕組みを組み合わせたものです。これにより、他社の既存モデルで用いられている計算コストの高い手法を回避し、よりシンプルな予測を可能にしていました。
今回発表された「SimpleDesign」は、このシンプルな構造をさらに発展させ、タンパク質の設計全体に応用したものです。従来の手法では、データを一度別の形式に変換してから生成モデルを学習させるという多段階のプロセスが一般的でした。しかし、今回のモデルではこの中間手順を省き、アミノ酸配列と立体構造のデータを直接、一度のプロセスで学習する仕組みを採用したということです。
研究チームは、200万以上のタンパク質のデータを使用し、独自の学習を行いました。アミノ酸配列の一部を隠したり、立体構造のデータにノイズを加えたりして、その度合いを変化させることで、構造の予測や配列の生成、さらにはその両方を同時に行う複雑な設計タスクをモデルに学習させたとしています。
論文によりますと、「SimpleDesign」は単純化された学習プロセスでありながら、競合する他のモデルと同等以上の性能を示したということです。生成されたタンパク質の構造は妥当なものであり、アミノ酸配列の品質も既存のモデルを上回る結果を出したとしています。
一方で、生成されたタンパク質が実際の生物の体内で正しく折りたたまれ、安全に機能するかどうかについては、コンピュータ上での評価にとどまっています。研究チームは、実用化に向けては今後の実験的な検証が必要だとしています。
