アメリカのIT大手アップルは、数か月にわたるベータテストを経て、Mac向けの最新基本ソフト(OS)「macOS 27 Golden Gate」の一般提供を開始したと発表しました。新たなAI機能の導入、インターフェースの刷新、ブラウザの機能強化など、多岐にわたる改良が盛り込まれています。
今年の「世界開発者会議(WWDC)」において、同社は各OSの単独機能よりも、新たなAI基盤「Apple Intelligence」を活用したプラットフォーム横断的な機能に焦点を当てる方針を示しました。これは、同社が自社製品全体にAI技術を深く統合し、次世代の操作体験を構築するという戦略に基づくものとみられます。
デザイン面では、「Liquid Glass」と呼ばれる新しいインターフェースがシステム全体に深く統合されました。透明度を調整できるスライダーが追加されたほか、アイコンやウィンドウの角の丸みが統一され、視認性が向上したということです。また、前バージョンで指摘されていたメニュー内の過剰なアイコン表示は撤回され、よりすっきりとしたデザインに変更されたとしています。
最大の特徴として、Googleの「Gemini」モデルと提携して開発された新しい「Siri AI」が導入されました。Siriは専用アプリとして独立し、システム全体に統合されています。端末内でユーザーのデータを処理し、ウェブ上の情報や文脈を読み取って回答するということです。また、サードパーティ製アプリとの連携も強化される方針です。Siri AIはまず英語で提供され、日本語やフランス語などには10月に対応する予定ですが、規制の問題から中国およびEU(ヨーロッパ連合)では提供されないということです。
「macOS 27 Golden Gate」のAI機能は、端末内で処理を行うモデルとクラウドベースのモデルを組み合わせて活用しています。文章作成の補助や要約などで高い性能を発揮する一方、AIの提示方法については今後の改善が期待されています。また、画面上の任意の範囲を選択してSiriに質問できる「Visual Intelligence」機能も追加されました。これらのAI機能の利用には、A18 Pro、M1以降のチップを搭載したMacが必要となります。
システム全体の動作も改善され、AirDropの転送速度やSpotlightの検索速度が向上したとしています。さらに、外部モニター接続時のウィンドウ配置の記憶や、高解像度・高リフレッシュレートへの対応も強化されました。
標準ブラウザの「Safari」には、ウェブページの更新を監視して通知する「Notify Me」機能が追加されました。また、自然言語で拡張機能を作成できる機能も導入され、AIがユーザーの指示に基づいて自動で作成するということです。さらに、タブの自動整理機能や、画面を下に引っ張って更新するジェスチャーも追加されました。
「iPhoneミラーリング」機能では、ウィンドウの縦横比(アスペクト比)の変更が可能になりました。これは、新たに発表された折りたたみ式端末「iPhone Duo」の利用を想定したものとみられています。また、「ショートカット」アプリでは、自然言語で実行したい内容を説明するだけで、AIが自動的にショートカットを作成する機能が追加され、利便性が向上したということです。
「写真」アプリには、不要な被写体を削除する機能の強化版や、画像の周囲を生成する「Extend」、構図を変更できる「Spatial Reframing」など、AIを活用した編集ツールが追加されました。
なお、インテル製チップ向けアプリを動かすための変換機能「Rosetta」のサポートは、本バージョンが最後になるということです。同社は今後、独自開発した「Appleシリコン」への完全移行を完了させる方針です。
