アメリカのIT大手アップルは、ティム・クックCEO(最高経営責任者)の退任に伴い、長年「App Store(アプリストア)」の責任者を務めてきたフィル・シラー氏ら複数の幹部が退任したと発表しました。経営トップの交代を機に、経営陣の退社が相次いでいるということです。
アメリカの通信社ブルームバーグの報道によりますと、シラー氏は数日前に退任したということです。同氏は1987年に入社して以来、4年間の離職期間を除いて同社で勤務し、2015年からアプリストアの責任者を務めてきました。
シラー氏は会社を完全に離れるわけではなく、技術や指導力で卓越した貢献をした人物に与えられる「アップル・フェロー」として社内にとどまる方針です。今後は具体的な内容は未定のプロジェクトに携わるとしていますが、社内関係者の間では「最終的な引退に向けた大きな一歩だ」と受け止められているということです。
シラー氏は、アプリストアの手数料システムをめぐるゲーム大手「エピックゲームズ」との訴訟において、同社を主導してきました。エピックゲームズは2020年、アップルが違法な独占状態を作り出しているとして反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴しました。独占の主張は最終的に退けられ、裁判所は概ねアップル側の主張を認める判決を下しました。一方で、アップルに対し、アプリ開発者が外部の決済システムへ誘導するリンクを設けることを認めるよう命じており、法的な争いは現在も続いているということです。
シラー氏の退任に伴い、アップルはアプリストアの日常業務をカーソン・オリバー氏に委ねる方針です。オリバー氏は14年以上にわたり同社に勤務し、その間一貫してアプリストア部門に所属していました。また、アプリストア部門はこれまでのマーケティング部門から、エディ・キュー氏が率いるサービス部門へと移管されるということです。
アップルでは、シラー氏のほかにも幹部の退社が相次いでいます。27年間勤務したジェフ・ウィリアムズCOO(最高執行責任者)が12月に退社したほか、環境・政策・社会イニシアチブ担当の副社長であるリサ・ジャクソン氏や、法務責任者のケイト・アダムス氏の退社も12月に発表されました。さらに、長年「Apple Pay」の責任者を務めてきたジェニファー・ベイリー氏も、20年以上の勤務を経て10月に退社する予定だということです。
また、今年6月には、ゴーグル型端末「Vision Pro」を担当する副社長のポール・ミード氏が退社し、AIの開発を手がける「オープンAI」に移籍しました。ミード氏の退社後、アップルはVision Proの開発チームを縮小しており、今月上旬の時点で約100人の従業員が削減されたとしています。
新たにCEOに就任するジョン・ターナス氏は、直面する多くの課題の1つとして、次世代のリーダーを登用し、経営陣を再構築することが求められるということです。
