アメリカのIT大手アップルは、EU(ヨーロッパ連合)の欧州委員会との対立を解消するため、EU域内におけるアプリストアの手数料体系を簡素化し、独自のアプリストア以外の「代替アプリストア」の開設条件を緩和したと発表しました。
今回の変更は、巨大IT企業を規制するEUの「デジタル市場法(DMA)」の要件を満たすための新たな対応策としています。アップルはこれまで、手数料の複雑さや公平性をめぐって、EUの規制当局と長年にわたり協議を続けてきました。
アップルは昨年、デジタル市場法への違反を理由に、EUの規制当局から5億ユーロ(およそ825億円)の制裁金を科されたことを受け、手数料の改定を行っていました。しかし、以前の手数料体系は初期取得費用やサービスごとの異なる料金設定などが含まれており、極めて複雑だったため、一部の専門家からは「悪意のある法令順守」と批判されていました。
新たな手数料体系では、これまでのインストールごとに課金される仕組みを廃止するということです。その代わり、アップルの公式アプリストアを経由せず、代替アプリストアやウェブサイトを通じて配信されるアプリ内のデジタル商品に対して、一律5%の手数料を適用するとしています。
また、公式アプリストア内での決済手数料は、従来の30%から26%に引き下げられます。ただし、中小企業向けの支援プログラムや特定のパートナープログラムの対象となる開発者、さらに自動更新のサブスクリプション(定額課金)の2年目以降のアプリについては、引き続き15%の割引手数料が適用されるということです。
さらに、代替の決済システムを利用するアプリには20%の手数料が適用されますが、特定の支援プログラムに参加している場合は10%に引き下げられるとしています。
開発者は、公式の決済システムや外部決済、あるいはその両方の組み合わせなど、一度選択した決済方法を12か月間変更できない方針です。
安全性への配慮から、子ども向けカテゴリーのアプリには外部決済へのリンクを設けることを禁止する例外規定も設けられました。また、18歳未満のユーザーが公式アプリストア以外で商品を購入する際には、保護者の承認が必要になるということです。
一方、代替アプリストアの運営に関する条件も大きく緩和されました。これまでは、多額の資金的裏付けを証明するか、アップルの開発者プログラムに2年以上参加し、EU域内で年間100万回以上の初回インストール実績があることを示す必要がありました。
今後はこれらの要件を必須とせず、上場企業であることや、財務監査の結果、ベンチャーキャピタルからの資金調達など、他の方法でも財務の安定性を証明できるようになるということです。
