アメリカのIT大手アマゾンは、2040年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標について、現時点では具体的な達成方法を完全に把握していないことを明らかにしました。
これは、同社のサステナビリティ担当幹部であるカーラ・ハースト氏が、メディアのイベントで述べたものです。ハースト氏は、「目標の達成に向けて努力を続けている」としたうえで、「現時点で具体的な方法をすべて把握しているわけではない」と説明しました。
アマゾンの昨年の売上高は、前年比12%増の7170億ドル(約111兆1350億円)に達し、世界最大規模の企業となっています。国連のグテーレス事務総長が指摘するように、世界的な影響力が政府から一部の巨大企業へと移行する中、同社の気候変動対策への責任が問われています。
ハースト氏は、イベント後の取材に対し、「気候変動への対応は企業と政府の双方が協力して取り組む必要がある」と述べました。また、アマゾンは過去数年にわたり、世界最大規模となる42ギガワットのクリーンエネルギーを購入しているほか、売上高あたりの温室効果ガス排出量を示す「炭素集約度」を削減してきたと強調しています。
一方で、アマゾンの事業は航空、AI(人工知能)、農業、建設など多岐にわたるため、排出量の削減にはあらゆる分野のサプライヤーとの協力が不可欠だということです。同社は「2040年までに排出を実質ゼロにするという約束に変わりはない」としています。
しかし、同社の気候変動対策と矛盾する動きも指摘されています。今年に入り、アマゾンがAIデータセンターの電力を賄うため、7.65ギガワットの天然ガス発電所を建設する計画が明らかになりました。このプロジェクトでは、年間最大3300万トンの二酸化炭素が排出される可能性があり、アメリカ国内で単一の施設としては最大規模の排出源になる懸念があります。
世界最大のクラウドサービスを運営するアマゾンにとって、AI分野は大きな収益源となっています。クリーンエネルギーの普及による排出削減が期待される一方で、AI開発競争が激化する中、企業が気候変動対策よりも収益の拡大を優先する現状が浮き彫りになっています。
