アメリカ連邦捜査局(FBI)は、昨年のサイバー犯罪によるアメリカ国内の被害総額が約210億ドル(約3兆2550億円)に上ったと発表しました。投資詐欺が最も多く、なかでも暗号資産(仮想通貨)に関する詐欺が被害の大半を占めているということです。
FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)が今週発表した「インターネット犯罪報告書2025」によりますと、寄せられた苦情の総数は100万8597件に達し、前年の85万9532件から増加しました。フィッシング詐欺や恐喝、投資詐欺に関する報告が最も多く、サイバー空間を利用した詐欺の苦情は約45万3000件、被害額は177億ドル(約2兆7435億円)を超えたとしています。
投資詐欺は全体の被害額の約49%を占め、最大の要因となっています。特に暗号資産に関連する苦情は18万1565件寄せられ、被害額は110億ドル(約1兆7050億円)以上と最も高額になったということです。
また、今回の報告書では、約25年の歴史の中で初めて人工知能(AI)に関する項目が設けられました。AIを悪用した詐欺は新たな脅威となっており、家族や友人の声を模倣した音声の複製や、偽造文書、ディープフェイク動画などが悪用されています。AI関連の苦情は2万2364件に上り、被害額は約8億9300万ドル(約1384億円)に達したとしています。
FBIは、詐欺師が被害者に時間的な切迫感を与える手口を多用していると指摘しています。具体的には、短時間での対応を求める偽の取引明細や、資金移動による口座の「保護」、逮捕を免れるための即時罰金支払い、家族の緊急事態を装った金銭の要求などが挙げられます。
これに対しFBIは、緊急を要するように見える状況でも「一呼吸置く」ことが重要だとしています。焦って行動せず、金銭や個人情報を提供する前に状況を冷静に評価するよう呼びかけています。
さらに、メールアドレスやSNSのアカウント、電話番号などは偽装される可能性があるため、家族や友人からの連絡であっても別の手段で確認をとることや、万が一の緊急時に備えて家族間で合言葉を決めておくことを推奨しています。銀行やカード会社を名乗る電話があった場合も、一度電話を切り、カードの裏面に記載されている公式の電話番号にかけ直すことが有効だとしています。
高齢者はインターネット詐欺の被害に遭う確率が統計的に高いため、家族間で情報共有や教育を行うことも重要だということです。
