アメリカの開発企業「アンソロピック」は、自律的にタスクを実行するエージェント機能を備えた新しい中規模の基盤モデル「Claude Sonnet 5」の提供を開始したと発表しました。
アンソロピックによりますと、新しいモデルは、計画の立案やブラウザーなどのツールの操作を自律的に行うことができるということです。同社は、数か月前までは大規模で高額なモデルでしか実現できなかった水準の機能を備えているとしています。
現在、オープンAIやグーグルなどの主要な開発企業の間では、人工知能が自律的に作業を進める「エージェント機能」の搭載が標準的な要件となりつつあります。今後は、機能の有無だけでなく、いかに低コストで、人間の監視なしに安定して実行できるかが、企業間の競争を左右する差別化の要因になる見通しです。
「Sonnet 5」は、最上位モデルである「Opus 4.8」に近い性能を維持しながら、利用コストを大幅に抑えているということです。無料プランや有料のプロプランにおいて、標準のモデルとして提供されます。
利用料金は、8月31日まではデータの最小単位である入力トークン100万件あたり2ドル(約310円)、出力トークン100万件あたり10ドル(約1,550円)に設定されています。その後は、入力が3ドル(約465円)、出力が15ドル(約2,325円)に引き上げられる方針です。これにより、オープンAIやグーグルの同等クラスのモデルと比較して、より安価に利用できるとしています。
アンソロピックによりますと、今年2月に公開された前のモデルと比較して、論理的な推論やプログラミング、知識を要する作業などの性能が大幅に向上したということです。特定の知識労働のテストでは、最上位モデルをわずかに上回る結果を出したとしています。
同社は、「高い精度が求められる作業には引き続き最上位モデルが適しているものの、新しいモデルはコストと性能のバランスを調整する上で有力な選択肢になる」と説明しています。
また、試験運用に参加した企業の担当者からは、「以前のモデルでは途中で停止してしまった複雑な作業を最後まで完了できるようになった」といった評価が寄せられているということです。
安全性についても改善が図られています。悪意のある指示を拒否する能力や、システムを誤作動させる攻撃を回避する能力が向上したほか、事実とは異なる情報を生成する「ハルシネーション(幻覚)」などの望ましくない動作の発生率も低下したとしています。
一方で、サイバーセキュリティーに関わる危険な作業を実行する能力は、最上位モデルに比べて大幅に制限されているということです。
人工知能がより自律的に動作する環境が広がる中、アンソロピックは安全性と低コストを両立させたモデルを投入することで、市場での競争力を高めるねらいがあるものとみられます。
