アメリカのAI(人工知能)開発大手「アンソロピック」が新たな広告映像を公開し、その内容が終末論的で不気味だとして波紋を呼んでいるということです。
「困難な問いの中に希望がある」と題されたこの広告は、燃える家の映像から始まります。続いて、顔認証システムで監視される群衆や、路上生活者、墓地に並ぶ無数の墓石、スマートフォンの原料を採掘しているとみられる労働者などの静止画が次々と映し出されます。
映像の背景では、「AIは信頼できるのか」「必要が生じた際、誰がブレーキをかけるのか」といった問いかけの音声が流れます。アンソロピックはこれまで、他社とは異なる「倫理的なAI企業」としての立場を強調する事業戦略をとってきました。今回の広告も、AIに対する批判的な視点をあえて取り入れることで、自社が社会的責任を自覚しているとアピールする狙いがあるとみられています。
しかし、この広告に対しては各方面から批判の声が上がっています。競合する「オープンAI」のサム・アルトマンCEOは、自身のSNSで「風刺かと思った」と投稿し、冷ややかな反応を示しました。また、IT業界の関係者などからも、「企業の広報活動として最悪だ」「この内容が受け入れられると考えるのは理解しがたい」といった厳しい意見が相次いでいるということです。
特に、アメリカのアーリントン国立墓地とみられる映像が使用されたことに対しては、「誰がブレーキをかけるのかという問いとともにこの画像を使うのは異常だ」「極めて不気味だ」といった指摘が寄せられています。
業界の負の側面をあえて提示し、自社がそれを解決できるとアピールする手法は、マーケティングにおいて古くから存在します。アンソロピックは今年2月にも、他社を風刺するユーモアを交えた広告を展開して話題を集めましたが、今回の試みは逆効果となっているもようです。
