企業価値が25億ドル(約3875億円)とされる話題のAIアシスタント「Instinct(インスティンクト)」を開発する企業は、AIがユーザーに代わって自律的に作業を行うための新機能として、ユーザーごとに専用のメールアドレスの提供を開始したと発表しました。
同社の創業者であるノア・シン氏によりますと、専用のメールアドレスを付与することで、ユーザー個人の受信トレイを煩雑にすることなく、AIが独自のアカウントを作成して管理できるようになるということです。
この機能は、各種サービスでのアカウント作成や企業への問い合わせなど、メールを必要とする作業をAIが代行することを目的としています。シン氏は、「例えば、レストランへの特別な要望の連絡や、店舗の空き状況の確認、必要なサービスへの登録などを、AI自身のメールアドレスを使って行うことができる」と説明しています。
これにより、ユーザーが手動でログインしたり認証情報を提供したりする手間が省け、利便性が向上するということです。なお、認証情報の管理については、先週、パスワード管理大手の「1Password」との提携を発表しています。
企業側にとっては、顧客との関係構築において、実際に誰とやり取りしているのか不透明になるという課題が生じる可能性があります。一方で、簡単な手続きのために個人のメールアドレスや電話番号を提供することに抵抗を感じるユーザーにとっては、プライバシー保護の観点から利点になるとしています。
同社は、初期のユーザー向けに一部のメールアドレスを確保しており、その他のユーザーも専用サイトから取得できる方針です。
また、ユーザーが特定の作業をAIに依頼する際、必要な情報をメールで転送する活用方法も示されています。例えば、商品の返品を依頼する場合、注文確認メールをAIに転送すれば、AIがカスタマーサポートに連絡して手続きを行った上で、印刷用の返品ラベルをユーザーに提示するということです。
さらに、この専用メールアドレスをグループチャットに追加して情報交換の記録を管理させたり、長いやり取りの履歴を送信して、決定すべき事項や期限の確認を行わせたりすることも可能だとしています。AIはユーザーの確認が必要な場合のみ通知を行い、それ以外は自律的に動作する仕組みです。
今回の機能追加は、AIの性能向上に向けた一連の取り組みの一環です。同社は最近、位置情報共有機能を導入し、ユーザーの現在地に基づいた近隣の店舗検索や経路案内を可能にしました。また、今年8月には決済サービス大手の「Stripe」と提携し、旅行の予約や商品の購入などをAIがスムーズに行えるようにするなど、サービスの拡充を進める方針です。
