インドのIT企業「エマージェント」は、チャットアプリを通じて日常業務を自動で処理する自律型AIエージェント「ウィングマン」の提供を開始したと発表しました。
インド南部のベンガルールに拠点を置くエマージェントは、専門知識がなくても自然言語による指示だけでソフトウェアを開発できるサービスで知られています。同社によりますと、今回発表した「ウィングマン」は、ソフトウェアの開発にとどまらず、実際の業務の実行までをAIに担わせることを目指しているということです。
エマージェントのムクンド・ジャCEO(最高経営責任者)は、「ソフトウェアを構築するだけでなく、より自律的に運用できるよう支援することが次のステップでした。業務を支援するソフトウェアから、業務の実行を積極的に担うソフトウェアへと移行しつつあります」としています。
同社は2025年に設立され、これまでに800万人以上が同社の開発サービスを利用し、月間アクティブユーザー数は150万人を超えているということです。今年1月には、日本のソフトバンクやアメリカの投資会社などから7000万ドル(約108億5000万円)の資金を調達し、企業の評価額は3億ドル(約465億円)に達したとしています。
「ウィングマン」は、「ワッツアップ」や「テレグラム」などのメッセージ通信アプリ上で動作するよう設計されています。メールやカレンダー、業務用のソフトウェアと連携し、日常的な作業をバックグラウンドで自動的に処理するということです。
一方で、AIが完全に自律して動くことへの懸念に対応するため、「信頼の境界」と呼ばれる仕組みを導入しました。重要な決定や操作を伴うタスクについては、必ずユーザーの承認を求める方針です。
現在、自律型AIエージェントの開発はIT業界で競争が激化しています。「オープンクロー(OpenClaw)」などのプロジェクトが先行して注目を集めるなか、アメリカのマイクロソフトや新興企業のアンソロピックなども独自のシステム開発を進めています。エマージェントは、人々が普段から使い慣れているチャットアプリにAIを組み込むことで、他社との差別化を図るねらいがあるとしています。
ただし、ジャCEOは、状況が曖昧な場合や人間の複雑な判断が必要な業務においては、AIの動作にまだ課題が残っていると説明しています。
「ウィングマン」は、機能が制限された無料のお試し版として提供が開始され、今後は有料のサービスに移行していく方針だということです。
