アメリカの調査会社「センサータワー」は、インドのモバイルアプリ市場における今年第1四半期のアプリ内課金収益が、前年同期比33%増の3億ドル(約465億円)を超え、過去最高を記録したと発表しました。一方で、こうした収益の大半は海外のプラットフォームに流出しているということです。
成長を牽引したのはゲーム以外のアプリです。アプリ内課金の収益は前年同期比44%増の2億ドル(約310億円)を突破し、全体の支出に占める割合を拡大しました。特に、ユーティリティ、動画配信、生成AI(人工知能)などの分野が収益の増加に貢献したとしています。
インドのアプリ市場では大きな構造変化が起きています。年間のアプリ内課金収益は、2021年の5億2000万ドル(約806億円)から10億ドル(約1550億円)を超える規模へと成長しており、今年は12億5000万ドル(約1938億円)に達する見通しです。年間のダウンロード数は約250億回で安定しているものの、アプリの利用時間は増加傾向にあり、消費者がデジタルサービスに対価を支払う意欲が高まっているということです。
第1四半期の収益の大半は、「Google One」や「Facebook」、「ChatGPT」、「YouTube」といった海外のプラットフォームが占めました。一方、インド国内の企業は動画配信分野で存在感を示しており、「JioHotstar」や「SonyLIV」が上位に入っています。ダウンロード数においても同様の傾向が見られ、「ChatGPT」や「Instagram」、中国の短編ドラマアプリ「FreeReels」が市場を牽引し、インド発のアプリがそれに続く形となっています。
センサータワーの担当者は、「インドのアプリ市場はダウンロード数の面では成熟していますが、デジタル決済の普及と利用の深まりにより、収益化が強化されています」と分析しています。
収益が増加しているものの、インドは依然として消費者支出が比較的少ない市場です。1ダウンロードあたりの収益は約0.03ドル(約4.6円)にとどまっており、東南アジアや中南米の0.20ドル(約31円)以上と比較すると低い水準にあるということです。
新たな分野が市場の成長を後押ししている一方で、支出は生産性向上アプリやSNS、動画配信など、一部の成熟した分野に集中しています。特に動画配信は、収益上位10アプリの約半数を占めており、極めて高い収益化能力を示しています。
利用者の需要の変化は、さらなる成長の余地を示しています。生成AIアプリのダウンロード数は前年同期比で69%増加し、「ChatGPT」はインストール数と収益の両方で上位にランクインしました。インドは「ChatGPT」にとって利用者数が最も多い市場であり、他のAIアプリもシェアを拡大する方針です。
さらに、短編ドラマの配信プラットフォームは急速に成長しており、ダウンロード数は400%以上増加しました。新たな分野で消費者の支払い意欲が高まる中、インドのアプリ市場は収益化の初期段階にあるとみられています。
