オーストラリア政府は、巨大IT企業に対して国内の報道機関にニュースの使用料を支払うよう義務づけ、応じない場合は国内での収益に対して2.25%の税を課す新たな法案を発表しました。
オーストラリア政府が発表した「ニュース交渉インセンティブ(NBI)」と呼ばれる法案の草案によりますと、対象となるのはアメリカのメタやグーグル、動画共有アプリのティックトックなどを運営する企業です。
ウェルズ通信相は記者会見で、「人々はフェイスブックやティックトック、グーグルから直接ニュースを得るようになっている」と指摘しました。
法案では、これらの企業が地元の報道機関と商業的な契約を結ばない場合、オーストラリア国内での収益に対して2.25%の課税を行うとしています。報道機関との契約数が増えれば税率は下がり、実質的な税率は1.5%まで引き下げられるということです。これにより、2億豪ドルから2億5000万豪ドル(約200億円から250億円)が国内の報道機関に還元される見通しだとしています。
アルバニージー首相は声明で、「ジャーナリストは地域社会に重要なニュースを伝える役割を担っており、メディア産業の生命線だ」と意義を強調しました。
オーストラリア政府は2021年にも同様の法律を施行しましたが、企業側がプラットフォーム上からニュースの配信を停止すれば支払いを免れるという抜け穴がありました。実際にメタは2024年にニュースの配信を停止しており、これが国内メディアの大規模な人員削減につながったと指摘されています。
今回の新たな法案ではこの問題に対処し、ニュースを配信しているかどうかにかかわらず課税される仕組みとなっています。また、今回からティックトックが新たに対象に加えられました。一方で、生成AI(人工知能)のサービスについては、著作権の観点などから別の政策会議で議論されているとして、対象から除外されています。
アメリカ政府は、自国のIT企業に対するデジタルサービス税に強く反対しており、導入する国に対しては報復関税を課す構えを見せています。これについてアルバニージー首相は、「私たちは主権国家であり、国益に基づいて決定を下す」と述べ、アメリカ側の圧力に屈しない姿勢を示しました。
法案が成立した場合、企業側は課税が開始される今年7月までに対応を迫られる方針です。
巨大IT企業と報道機関をめぐる動きは各国で広がっています。カナダでは2023年の法律施行後にメタがニュース配信を完全に停止したほか、ブラジルやEU=ヨーロッパ連合でも対応が分かれています。一方、南アフリカでは規制当局の仲介により、グーグルやメタなどと報道機関の間で直接契約が結ばれ、5年間で約4000万ドル(約62億円)の資金が確保されたということです。
メタ、グーグル、ティックトックの各社は、現時点でコメントを出していません。
