アメリカのカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は、AI=人工知能の開発を手がける「オープンAI(OpenAI)」と著名デザイナーのジョニー・アイブ氏が立ち上げた新たなベンチャー企業に対し、「io」というブランド名の使用を禁じる仮処分を決定したと発表しました。
オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者とジョニー・アイブ氏は去年、AIを搭載した製品を開発するため、「io」という名称の新たなベンチャー企業を共同で設立する方針を明らかにしていました。
これに対し、「iyO」という企業が商標権の侵害を主張して提訴しました。裁判所が一時的な差し止めを命じたことを受け、オープンAIはウェブサイトから新会社に関する記述を削除する対応をとったということです。
その後の裁判手続きのなかで、新会社の発表前に両社が製品のデモを含めて接触していたことが明らかになっています。オープンAI側は「iyO社から一方的な情報提供や投資の要請があった」と主張する一方、iyO社は新たに営業秘密の窃盗があったとして訴えの内容を追加しています。
iyO社は、オープンAIが通信機能を持つヘッドホンなどの製品を発売した場合、消費者の混乱を招くおそれがあるとする調査結果を裁判所に提出しました。これに対しオープンAI側は、最初の製品はウェアラブル端末ではないとしたうえで、「io」というブランド名を使用する計画はすでにないと主張し、訴えの棄却を求めていました。
しかし、トリーナ・トンプソン判事は今回の決定で、オープンAIが将来的にブランド名の使用を再開する可能性を指摘しました。「本当に使用する計画がないのであれば、差し止めによる影響はないはずだ」として、iyO社側の要請を認める判断を示したということです。
さらに、iyO社の商標権侵害の主張は認められる可能性が高いとしています。ブランド名の使用が続いた場合、新たな投資家の獲得が困難になるほか、資金の枯渇やブランド価値の低下など、回復困難な損害を被るおそれがあると指摘しました。
今回の仮処分決定を受け、裁判は本格的な証拠開示の手続きに進むということです。別の判事は両者の弁護士に対し、証拠開示をめぐる協議を行い、2026年5月29日までに裁判所に報告するよう命じたということです。
