アメリカのIT企業「OpenAI(オープンエーアイ)」で、科学研究部門を主導したケビン・ワイル氏と、動画生成AI「Sora(ソラ)」の開発に携わったビル・ピーブルス氏の幹部2人が、それぞれ退社したと発表しました。
OpenAIは現在、企業向けのAI事業や今後展開予定の「スーパーアプリ」に事業を集中させる方針です。これに伴い、消費者向けの「Sora」や科学研究部門「OpenAI for Science」といった、中核事業以外のプロジェクトを縮小する決定を下したということです。
動画生成AIの「Sora」は、計算処理に1日あたり推定100万ドル(約1億5500万円)の費用がかかっていたとされ、先月、プロジェクトが終了されました。
また、「OpenAI for Science」は、科学的発見の加速を目指すAIプラットフォームを開発していた社内の研究グループです。ワイル氏がSNSに投稿した内容によりますと、このグループは今後、社内の他の研究チームに吸収されるということです。
ワイル氏は投稿の中で、「最高製品責任者(CPO)から研究チームに移り、科学部門を立ち上げたこの2年間は、視野が広がる経験でした。科学の発展を加速させることは、汎用人工知能(AGI)の実現に向けた取り組みの中で、最も素晴らしい成果の一つになるでしょう」と述べています。
同部門は2025年10月に正式に発足して以降、課題にも直面していました。ワイル氏は以前、最新のAIモデル「GPT-5」が未解決の数学問題を解明したとSNSに投稿しましたが、専門家からの指摘を受けて主張を撤回し、投稿を削除する事態も起きていました。なお、ワイル氏の退社は、生命科学研究や創薬を支援する新たなAIモデル「GPT-Rosalind」が発表された翌日のことでした。
一方、ピーブルス氏は退社を報告する投稿の中で、「Sora」が業界全体における動画分野への巨額の投資のきっかけになったと評価しています。その上で、こうした革新的なツールを生み出す研究には、会社の主要な事業計画から切り離された環境が必要だと主張し、「多様性を育むことこそが、研究機関が長期的に繁栄するための唯一の方法だ」としています。
