アメリカのAI開発企業Anthropic(アンソロピック)は、同社の対話型AI「Claude(クロード)」が生成した文章に対し、AIによる生成物であることを識別するための目に見えない電子透かし(ウォーターマーク)を導入したと発表しました。
この新たな方針は、欧州連合(EU)の包括的なAI規制法である「AI法」の透明性要件に対応するための措置だということです。同法では、テクノロジー企業に対し、AIによって生成または編集されたコンテンツをコンピューターシステムで識別できるようにすることが義務付けられています。
欧州の規制当局がこの対応を評価する一方で、一部のAIユーザーからは不満の声が上がっています。海外のインターネット掲示板では、新たな電子透かしシステムに対して「一般の利用者が不当に不利益を被る」と主張する投稿が見られました。あるユーザーは、「文章の構成を整理するためにAIを使用した学生や、長文の要約を依頼したジャーナリストなどが、AIの使用を検知されてしまう」と懸念を示しています。
また、別のユーザーは「AIはあくまで作業を補助するツールであり、指示を出したのは人間であるにもかかわらず、AI側にクレジットが付与されるのは不適切だ」と主張し、電子透かしの導入を批判しています。
しかし、こうした批判に対しては、他の多くのユーザーから反論が寄せられています。学校の課題や記事の執筆において、AIの生成物をそのままコピーして使用することは倫理的に問題があるとの指摘が相次ぎました。さらに、「AIが生成したコンテンツがもたらすリスクを考慮すれば、識別可能にすることは当然の措置だ」として、Anthropic社の方針を支持する意見も多数見受けられます。
一方で、AIの開発企業がインターネット上の膨大なデータを学習に利用していることなどを挙げ、「他人の著作物を利用して開発されたAIが、自らの生成物に透かしを入れるのは矛盾している」といった、より複雑な議論も展開されているということです。
全体的には、アルゴリズムによって生成された情報を追跡する手段として、電子透かしの導入を妥当な安全対策と受け止める見方が大勢を占めているとしています。「電子透かしに反対する唯一の理由は、AIの使用を隠して他人を騙したいからではないか」といった厳しい声も上がっており、AIの透明性をめぐる議論が続いています。
