アメリカの不動産情報サイト大手「ジロー(Zillow)」と同業の「レッドフィン(Redfin)」は、賃貸物件の広告市場における競争を阻害したとされる反トラスト法(独占禁止法)違反の訴訟をめぐり、アメリカ連邦取引委員会(FTC)および5つの州と和解したと発表しました。和解は、裁判の審理が始まる直前に発表されたということです。
この訴訟は、両社が昨年発表した提携に関するものです。この提携により、レッドフィンは自社のウェブサイトにジローの賃貸物件情報を掲載し、ジローとの直接的な競争を避けることで合意していました。レッドフィンは「Rent.com」や「ApartmentGuide.com」といった主要な賃貸情報サイトを運営していますが、この取り決めにより、最大で9年間にわたり賃貸広告事業から事実上撤退する可能性があったということです。
FTCや、アリゾナ、コネチカット、ニューヨーク、バージニア、ワシントンの各州司法長官によりますと、ジローはレッドフィンに対し、競争を回避する見返りとして1億ドル(約155億円)を支払うことに合意していたとしています。
両社はこれまで、この提携が「借り手により多くの物件情報を提供するための手段である」と主張していました。一方でFTCは、ジローが最大の競合他社の1つに資金を提供して競争を排除したと指摘しています。これにより、不動産管理会社に対する広告掲載料の引き上げや取引条件の悪化を招き、消費者に提供される物件情報の質が低下するおそれがあったとしています。
今回の和解案に基づき、レッドフィンは賃貸広告事業を再開する方針です。また、レッドフィンが不動産管理会社などの顧客を獲得し、独自に競争することを制限していた従来の条項も撤廃されるということです。
一方で、両社の関係が完全に断たれるわけではありません。レッドフィンは引き続きジローの賃貸物件情報を掲載することができますが、今後は自社の顧客を獲得するための競争が可能になります。さらに、ジローに機密性の高い事業情報を共有することなく、広告の販売や自社顧客の物件情報の掲載、新規顧客の開拓を行うことができるとしています。
アメリカでは、市場を独占する企業がその影響力を利用して競争を排除したとされる反トラスト法違反の訴訟が相次いでいます。今回の和解は、司法省(DOJ)とチケット販売大手「チケットマスター」による同様の和解からわずか数か月後に行われました。なお、チケットマスター(親会社ライブ・ネーション)の訴訟では、司法省とともに提訴した30州のうち26州の司法長官が独自の訴訟を継続し、今年4月に勝訴しています。
