IT専門調査会社のIDCは、世界のスマートフォン市場に関する最新の予測を発表し、端末価格の上昇が恒久的に続く一方、低価格モデルの出荷台数が大幅に減少する見通しを明らかにしました。
発表によりますと、2026年の世界スマートフォン市場の出荷台数予測は、当初見込まれていた前年比約14%の減少から、16.7%の減少へと下方修正されました。これにより、およそ2億台のスマートフォンが出荷を減らす計算となり、特に下半期に大きな影響が出ると予測されています。
出荷台数の減少以上に消費者に影響を与えるのが、端末価格の恒久的な上昇です。スマートフォンの部品であるメモリの価格は、少なくとも2028年まで上昇し続けると見込まれています。さらに、2028年以降も平均販売価格の下落幅は年間1〜2%程度にとどまるということです。このため、来年以降に発売されるスマートフォンは今年よりも価格が上がり、利益率の低い低価格帯の端末は市場から姿を消していくとみられています。
こうしたコスト構造の上昇を受け、各メーカーは製品戦略の見直しを進めています。昨年は100ドル(約1万5500円)以下のスマートフォンが1億7300万台出荷されましたが、現在は存続の危機に立たされています。これまで低価格帯を中心に展開してきたAndroid端末メーカーは、低価格モデルを削減し、より高価格帯の製品への移行を進める方針です。この低価格帯セグメントは、前年同期比で約60%の大幅な減少を記録しており、今後さらに減少が加速すると予測されています。
高価格帯のプレミアムモデルについては、アメリカやイギリスなどの先進国で長期の無利子分割払いが普及しているため、価格上昇の影響を受けにくいとされています。一方で、新興国市場では需要の維持が難しく、今年は20%以上の落ち込みが予想されています。これにより、全体の出荷台数が減少する一方で、販売額は上昇し続ける傾向が強まっています。
報告書は、今後18か月間で、コストの高い市場環境に対応できるメーカーとそうでないメーカーの二極化が進むと指摘しています。アップル(Apple)、サムスン(Samsung)、ファーウェイ(Huawei)などの大手企業は、その規模と価格競争力を生かしてこの状況を有利に進めることができるとしています。一方で、低価格帯を主力とする小規模なAndroidブランドは業界史上最も厳しい状況に直面し、一部は市場から撤退を余儀なくされる見通しです。
2028年にメモリの供給が安定し、危機を乗り越えた後の市場は、出荷台数が減少する一方で市場価値は高まり、上位メーカーへの集中がさらに進むと予測されています。報告書は「低価格スマートフォンの時代は一時的な停滞ではなく、終焉を迎えた」と結論づけています。
一方で、市場における唯一の明るい材料として、折りたたみ式スマートフォンが挙げられています。折りたたみ式モデルの出荷台数は、2026年に12.6%増の2290万台となり、2027年には約2700万台へと成長が加速する見込みです。これは、アップルが近く折りたたみ式端末を発表し、この市場に参入することが大きく寄与しているということです。