アメリカのスタートアップ企業は、スマートフォンの過度な利用を防ぐため、物理的なデバイスを用いてアプリの利用を制限する新たな製品「Brick(ブリック)」を開発したと発表しました。利用者の睡眠習慣の改善などに効果があるとして注目を集めています。
「Brick」は、価格が59ドル(約9,100円)の小型デバイスです。スマートフォンに内蔵されたNFC(近距離無線通信)技術を活用しており、専用アプリで設定した利用制限を解除するためには、スマートフォンを直接このデバイスにかざす必要があります。
開発を手がけた共同創業者のザック・ナスゴウィッツ氏は、「スマートフォンが日常生活の妨げになっているという個人的な課題から開発に至った」としています。また、同じく共同創業者のTJ・ドライバー氏は、「ソフトウェアによる制限は簡単に回避されてしまうが、制限解除に物理的な移動を伴うことで、利用者に意図的な選択を促すことができる」と説明しています。
実際の利用者からは、睡眠習慣の改善に効果があるという声があがっています。例えば、夜間にメッセージアプリや音声アプリ以外の利用を制限する「睡眠モード」を設定した場合、翌朝ベッドから起きて別の場所に置かれたデバイスにスマートフォンをかざすまで、SNSなどのアプリを利用できない仕組みとなっています。これにより、就寝前や起床直後に無意識にスマートフォンを操作する習慣を防ぐことができるということです。
外出先で制限がかかった場合に備え、一定回数の「緊急解除」機能も設けられています。また、地図アプリや配車アプリなど、生活に不可欠なアプリは制限の対象外に設定することも可能だということです。
近年、大手IT企業のサービスから距離を置き、通話やメール機能のみを持つ「ダムフォン(従来型携帯電話)」に関心を示す消費者が増えています。しかし、電子チケットやキャッシュレス決済、業務用の認証アプリなど、現代の生活においてスマートフォンを完全に手放すことは困難な状況にあります。
開発企業は、この製品がスマートフォンを一時的に「ダムフォン」のように機能させることで、極端な生活の変化を伴わずに利用者の主体性を取り戻す助けとする方針を示しています。ドライバー氏は、「スクリーンタイムを見直す動きは、テクノロジーを拒絶するものではなく、利用者自身が主体性を取り戻し、意図的に技術を活用するためのものだ」と強調しています。
