音楽配信サービス大手の「TIDAL(タイダル)」は、人工知能(AI)によって完全に生成された音楽について、プラットフォーム上での収益化を停止する新たな方針を導入したと発表しました。また、実在するアーティストやグループになりすましたAI生成の楽曲については、自動化ツールを用いて削除する方針です。
TIDALのトニー・ジェルヴィーノ副社長は声明の中で、「人間の創造性を保護し、それに報いることに注力する」と述べています。多くの利用者から、AIによって完全に生成された音楽を聴きたくないという声が寄せられているということです。同氏は、今回の新方針は技術の進歩を否定するものではなく、アーティストの創造性を守ることに焦点を当てていると説明しています。
この方針の変更により、TIDAL上で完全にAIによって生成された楽曲には「AI」という表示が付けられ、利用者が識別できるようになります。これらの楽曲は収益化や著作権使用料の受け取りができなくなるほか、ファンへの直接販売の対象からも除外されるということです。
音楽配信の業界では、AIによって生成された楽曲の急増に対応するため、各社が独自の方針を打ち出しています。「スポティファイ(Spotify)」や「アップルミュージック(Apple Music)」は、AI生成の楽曲に表示を付ける取り組みを始めています。また、毎日アップロードされる新曲の44%がAI生成だとする「ディーザー(Deezer)」は、おすすめ機能や公式のプレイリストからAI楽曲を除外するなど、より厳格な措置をとっています。
TIDALによる収益化の停止は、急増するAI音楽の氾濫を抑えるための試金石になるとみられています。会社側は、今回の方針を状況の変化に合わせて柔軟に見直すとしており、2026年7月15日から施行する予定です。
