アメリカのメディア大手ディズニーは、動画共有アプリのTikTokと提携し、自社の動画配信サービス「Disney+」内で、TikTokのクリエイターが制作したファンコンテンツを配信すると発表しました。
両社は今後数か月以内にアメリカ国内で試験的なプログラムを開始し、その後、他の市場にも順次拡大していく計画だということです。
この提携により、ピクサーやマーベル、スター・ウォーズなどの人気作品に関連するファン制作のTikTok動画が、Disney+の「Verts」と呼ばれるセクションで配信されることになります。この機能は、数か月前に導入されたショート動画専用のフィードです。
ディズニーはこれまで、ショート動画フィードにおけるコンテンツの量と多様性の拡充に取り組んできました。昨年末には、アメリカのAI開発企業OpenAIに対し10億ドル(約1550億円)の大型投資を行う方針を示していました。これは、OpenAIの動画生成AI「Sora」を活用し、利用者がディズニーキャラクターを用いたショート動画を制作できるようにする3年間のライセンス契約の一環でした。しかし、今年3月にOpenAIがSoraの提供を突然終了したため、この計画は頓挫したということです。
動画配信サービス各社がSNSと利用者の関心を奪い合う中、今回のTikTokとの提携は自然な戦略の移行だとみられています。ディズニーをはじめ、ネットフリックスやHBOマックス、プライムビデオなどの競合他社がショート動画機能を導入しているのも、こうした競争激化が背景にあります。
また、今回の合意は、ディズニーが次世代の才能ある人材がSNS上に存在していると認識していることを示しています。ディズニーは新たに「ディズニークリエイター・アンバサダー・プログラム」を立ち上げました。これにより、TikTokのクリエイターはディズニーの膨大なコンテンツを利用できるようになるほか、報酬の獲得や知名度の向上、限定イベントへの参加、そして新たなキャリアの機会が得られるとしています。
他の動画配信サービスであるTubiやPeacockなども、すでにTikTokクリエイターと協力し、独自の長編コンテンツを制作する取り組みを進めています。
今回の発表は、ディズニーの第3四半期決算の時期に合わせて行われました。同社が発表した定額制動画配信(SVOD)事業の営業利益は、前年同期の3億2900万ドル(約510億円)から7億1200万ドル(約1104億円)へと2倍以上に増加しました。さらに、ディズニーは組織再編の一環として、消費者向け製品事業を体験部門からスタジオ部門へ移管する方針も明らかにしています。
