音楽配信サービス大手の「Deezer(ディーザー)」は、アーティストや権利者の同意を得たうえで、利用者が楽曲を独自にアレンジできる新たな機能「Remix Lab(リミックス・ラボ)」の提供を始めたと発表しました。この機能を通じて作成された楽曲が再生されるたびに、元のアーティストに収益が還元される仕組みだということです。
新機能は、アプリ内の特定のアーティストのページから利用することができます。同社の製品責任者によりますと、競合他社が人工知能(AI)を活用したリミックス機能に依存しているのに対し、Deezerではテンポの調整や残響効果の追加、さらに音楽のジャンルやスタイルの変更など、アプリに内蔵された専用のツールを使用してアレンジを行うということです。
現在、YouTubeがAIツールを用いた楽曲のアレンジをクリエイターに許可しているほか、Spotifyも大手レコード会社と提携し、AIによるカバー曲やリミックス機能の導入を進めています。しかし、こうした動きはプラットフォーム上にAI生成の音楽を氾濫させ、人間のアーティストの活動を圧迫する懸念があると指摘されています。
Deezerはこれまで、AIによって生成された楽曲に対して厳しい姿勢を示してきました。最近では、他の配信サービスのプレイリストを分析してAI楽曲を検出するツールを導入したほか、自社のおすすめ機能や公式プレイリストからAI楽曲を積極的に除外する方針をとっています。
同社のアレクシス・ランテルニエ最高経営責任者(CEO)は声明で、「この機能は、ファンが創作プロセスに参加し、お気に入りの音楽とより深いつながりを持てるようにすることで、リスニング体験を豊かにするという私たちのビジョンを体現するものです」と述べています。さらに、「アーティストの全面的な参加のもと、権利を完全に尊重し、それぞれの楽曲の収益を最大化する方針です」としています。
この新機能は現在、フランス国内で先行して提供されており、セリーヌ・ディオンさんなど一部のアーティストの楽曲が対象となっています。今後は他の国や地域への展開も検討しているということです。ストリーミング業界においてAIの活用が主流となるなか、人間のアーティストを重視する同社の戦略が支持を集めるかどうかが注目されます。
また、同社は利用者向けのアレンジコンテストを開催しており、優秀作品は9月上旬に発表される予定です。選ばれた楽曲は専用のプレイリストで公開されるほか、受賞者には同社が主催するイベントの招待券や、アーティストの限定グッズなどが贈られるということです。
