アメリカのIT大手メタが提供するAIアシスタント「Muse(ミューズ)」と、有力スタートアップ企業が開発する「Instinct(インスティンクト)」が、それぞれ新たに電話の発信機能を導入したと発表しました。テキストベースのAIアシスタント市場で競争が激化する中、利用者の利便性を高めるねらいがあるということです。
現在、テキストベースのAIアシスタント市場には、インスティンクトをはじめ、「Wajo」や「Town」、「Ollie」、そして先週提供が始まったメタの「Muse」などが参入し、利用者の獲得に向けて激しい競争を繰り広げています。中でもアメリカ・サンフランシスコに拠点を置くインスティンクトは高い人気を集めており、企業価値が100億ドル(約1兆5500億円)に上ると報じられるなど、投資家から強い関心を集めています。
インスティンクトの創業者であるノア・シン氏は、SNSを通じて、新たな電話発信機能「インスティンクト・コンシェルジュ」を発表しました。この機能により、オンライン予約を受け付けていない飲食店の予約や、歯科医院のキャンセル待ちの登録、通信料金の請求に関する問い合わせなどをAIが代行できるとしています。現在は一部の利用者を対象に先行提供されており、順次すべての利用者に拡大する方針です。
一方、メタが提供する「Muse」も、アメリカ国内の企業に電話をかける機能を新たに追加しました。メタによりますと、この機能はまず「Muse」に電話をかけるようリクエストした利用者を対象に提供されるということです。同社は今後、新機能を導入する際、AIにその機能を求めた利用者から優先的に提供する仕組みを採用するとしています。
これまで競合他社は、電話発信機能をインスティンクトに対する優位性としてアピールしてきました。しかし、今回の「インスティンクト・コンシェルジュ」の導入により、各社の機能は横並びになったとみられています。
インスティンクトは先週、AIがアカウントの登録や管理を行うための専用メールアドレス機能も導入しました。さらに、信頼できるネットワークに他の利用者を登録することで、自身のAIアシスタントが他者のAIアシスタントと連絡を取り合い、特定の作業を管理できる機能も追加したということです。
両社のサービスはここ数週間で急速に普及しています。インスティンクトは先月、企業価値を25億ドル(約3875億円)として3億5000万ドル(約542億5000万円)の資金調達を行いました。さらに現在、企業価値を100億ドル(約1兆5500億円)と評価した上で、新たに10億ドル(約1550億円)の資金調達に向けて協議を進めていると報じられています。
また、調査会社センサータワーの分析によりますと、メタの「Muse」アプリは提供開始から最初の5日間でアメリカ国内で73万回以上ダウンロードされました。これは、同社の「Meta AI」アプリが提供開始時の同期間に記録した70万7000回を上回るペースだということです。「Muse」は一時、アプリのダウンロードランキングで2位に浮上するなど、高い注目を集めています。
