アメリカの核融合スタートアップ企業「レアルタ・フュージョン」は、中西部ウィスコンシン州マディソンにある食品工場の跡地に、新たな研究開発施設を建設すると発表しました。
同社は過去2年間にわたり施設の建設候補地を検討してきましたが、最終的にマディソンにあるソーセージなどの加工肉を製造していた旧工場の跡地を選定したということです。
「フォージ(Forge)」と名付けられたこの新施設では、2029年に最初のプラズマを生成する計画です。同社は最近、核融合反応のエネルギーを直接電力に変換する技術を実証しており、商用発電所の実現に向けた道筋をつける方針です。
建設地として旧工場跡地が選ばれた理由について、同社は、豊富な電力が確保できることや既存の本社に近いことに加え、州知事や議会など超党派による強力な支援があったためとしています。
現在、AI(人工知能)向けデータセンターの普及や社会全体の電動化を背景に、電力需要が急増しており、核融合発電への期待が高まっています。今年だけで、核融合関連のスタートアップ企業は15億ドル(約2325億円)以上の資金を調達したということです。
レアルタ・フュージョンは、ウィスコンシン州とマディソン市から推定5500万ドル(約85億円)の優遇措置を受ける見通しです。同社はウィスコンシン大学マディソン校の研究から派生した企業であり、同大学から毎年優秀なプラズマ物理学者が輩出されるなど、人材確保の面でも有利な環境にあります。
アメリカの核融合スタートアップ企業の多くは、国立研究所の周辺や沿岸部に拠点を置く傾向があり、同州発の別の企業が2024年に他州へ移転した事例もありました。
こうした中、ウィスコンシン州は核融合産業の誘致に力を入れています。ことし4月には、核融合産業に対する売上税を免除する法律が超党派の支持を得て成立しました。この措置だけで、レアルタ・フュージョンは約3750万ドル(約58億円)の負担を軽減できる見込みです。さらに、州から1500万ドル(約23億円)の税額控除、市から280万ドル(約4億円)の資金調達支援が提供されるということです。
同社のキーラン・ファーロングCEOは、「州を代表する企業となることには大きな利点があります。私たちの成功と、ウィスコンシン州が核融合の主要拠点になることを望む人々の支援を得ることができます」と述べ、地元に留まることの意義を強調しています。
