ニュージーランド出身の世界的歌手であるロードさんが、スペインの首都マドリードで開催された音楽フェスティバルで、アメリカのIT大手メタ(Meta)などが展開するAI(人工知能)搭載のスマートグラスについて、「魅力的ではない」と強く批判したことがわかりました。
ロードさんは先週、マドリードで開催された「マッド・クール・フェスティバル」のステージ上で、観客に向けて新たなテクノロジーに対する見解を述べました。この中でロードさんは、「現実世界で何が本物かを見極めることがますます難しくなっている」と指摘しました。その上で、「普通のサングラスをかけているのか、それともAI眼鏡をかけているのか分からない」と述べ、「AI眼鏡は絶対に買わないでほしい。全く魅力的ではない」と呼びかけたということです。
今回のフェスティバルでは、メタと提携してAI眼鏡を製造しているアイウェアブランドの「レイバン(Ray-Ban)」がスポンサーを務めていました。また、ロードさんの直後にパフォーマンスを行った歌手のジェニーさんは、同ブランドのスマートグラスのアンバサダーを務めており、こうした背景が発言のきっかけになったとみられています。
AIやカメラを搭載したスマートグラスをめぐっては、嫌がらせや脅迫の道具として悪用されるリスクがあり、多くのセキュリティ専門家がプライバシー上の懸念を示しています。スマートグラス市場で最大のシェアを持つメタは、録画中であることを示すライトを点灯させるなど、プライバシー保護の対策を講じているとしています。
しかし、同社はプライバシー侵害を主張する複数の調査や訴訟に直面しています。ある訴訟では、メタのAIを訓練する目的で、ケニアの契約社員がスマートグラスを通じて取得された過激な映像の視聴を強いられたと主張されています。なお、メタはこの個別の主張に対して公式な見解を明らかにしていません。
こうした懸念にもかかわらず、製品の販売は好調に推移しています。レイバンの製造元であるエシロールルックスオティカ社によりますと、2025年におけるメタのAI眼鏡の販売台数は700万台を超えたということです。これは、2023年と2024年の合計販売台数である約200万台の3倍以上にあたります。販売の好調を受け、メタは今後もスマートグラスのラインナップを拡大していく方針です。
プライバシーへの懸念が消費者の購買意欲に大きな影響を与えていない中、ロードさんは「今、この瞬間を生きることこそが魅力的だ」と述べ、テクノロジーに過度に依存しない姿勢を強調しています。
