海外のIT専門メディアは、複雑化する人工知能(AI)の専門用語について、最新の動向を踏まえた解説集をまとめたと発表しました。AI業界の報道で頻繁に使用される重要な言葉やフレーズについて、客観的な定義を示しています。
【AGI(汎用人工知能)】 AGIは、多くのタスクにおいて平均的な人間と同等以上の能力を持つAIを指します。オープンAIのサム・アルトマンCEOは「同僚として雇える平均的な人間と同等」と説明しているほか、グーグル・ディープマインドは「ほとんどの認知タスクで人間と同等以上の能力を持つAI」と定義しています。専門家の間でも解釈が分かれているということです。
【AIエージェント】 AI技術を活用し、利用者に代わって一連のタスクを実行するツールのことです。経費精算や予約、プログラミングなどの複雑な作業を自律的に行うシステムであり、複数のAIを組み合わせて機能するとしています。
【思考の連鎖(CoT)推論】 問題を小さな中間のステップに分割することで、最終的な回答の質を向上させる手法です。回答を導き出すまでに時間はかかりますが、特に論理的な問題やプログラミングにおいて、正確性が高まるということです。
【計算資源(コンピュート)】 AIモデルを稼働させるために不可欠な計算能力を指します。GPUやCPUなど、現代のAI産業の基盤となるハードウェアインフラの総称として用いられています。
【ディープラーニング(深層学習)】 人間の脳の神経回路を模した多層の人工ニューラルネットワークを用いる機械学習の手法です。自らデータの特徴を抽出して学習することが可能ですが、数百万以上の膨大なデータと長い学習時間が必要であり、開発コストが高くなる傾向があるということです。
【拡散モデル(ディフュージョン)】 画像や音楽、テキスト生成AIの基盤となる技術です。データにノイズを加えて破壊し、それを復元する「逆拡散」のプロセスを学習することで、ノイズから新たなデータを生成する仕組みとなっています。
【蒸留(ディスティレーション)】 大規模な「教師モデル」から知識を抽出し、小規模で効率的な「生徒モデル」を訓練する手法です。オープンAIの「GPT-4 Turbo」などもこの手法で開発されたとみられています。なお、競合他社のモデルからの知識抽出は、利用規約違反になることが多いということです。
【ファインチューニング(微調整)】 特定のタスクや分野に特化させるため、AIモデルに専門的なデータを追加して学習させる手法です。多くの企業が、自社の専門知識を組み合わせて商用製品を開発し、市場での競争力を高める方針です。
【敵対的生成ネットワーク(GAN)】 「生成器」と「識別器」と呼ばれる2つのネットワークを競わせることで、より本物に近いデータを作り出す手法です。ディープフェイクなどのリアルな画像や動画の生成に用いられるということです。
【ハルシネーション(幻覚)】 AIが事実と異なる誤った情報を生成する現象のことです。学習データの不足などが原因とされ、AIの品質における大きな課題となっています。このリスクを減らすため、各社は特定分野に特化したAIの開発を進める方針です。
【推論(インファレンス)】 学習済みのAIモデルを稼働させ、予測や回答を導き出すプロセスです。スマートフォンからクラウドサーバーまで様々なハードウェアで行われますが、モデルの規模によって処理速度が異なるということです。
【大規模言語モデル(LLM)】 「ChatGPT」などのAIアシスタントの基盤となるモデルです。数十億のパラメータを持ち、膨大な文章データから言葉のパターンを学習して、次に来る確率が最も高い単語を予測して生成するということです。
【メモリキャッシュ】 推論を効率化するための最適化技術です。過去の計算結果を保存し、計算回数を減らすことで、回答の生成速度を向上させ、消費電力を抑えるとしています。
【ニューラルネットワーク】 人間の脳の神経回路から着想を得た、ディープラーニングの基盤となるアルゴリズム構造です。高性能なGPUの普及により、音声認識や自動運転など様々な分野で性能が飛躍的に向上したということです。
【RAMの枯渇(通称:ラマゲドン)】 AI業界の急成長に伴い、データセンター向けのRAM(ランダムアクセスメモリ)の需要が急増し、深刻な不足と価格高騰を引き起こしている現象です。ゲーム機やスマートフォンの製造など、他の産業にも影響を及ぼしているということです。
【学習(トレーニング)】 AIモデルにデータを与え、パターンを認識させるプロセスです。大量のデータと計算資源が必要であり、コストが高くなる傾向があります。
【トークン】 AIが言語を処理する際の最小単位です。企業向けAIサービスでは、処理したトークン数に応じて料金が決定される仕組みとなっています。
【転移学習】 あるタスクで学習したAIモデルを、別の関連するタスクの初期モデルとして再利用する手法です。開発の効率化やコスト削減につながるとしています。
【重み(ウェイト)】 AIが学習する際、入力データのどの特徴を重視するかを決定する数値パラメータです。学習プロセスを通じてこの数値が調整され、AIの出力精度が高まるということです。
この解説集は、技術の進展や新たな安全上の課題の発見に伴い、定期的に更新される方針です。
