元英国首相のリシ・スナク氏が、マイクロソフトとアンソロピックのシニアアドバイザーに就任したと、ガーディアン紙が報じました。
英国議会のビジネス任命諮問委員会(Acoba)からの書簡によると、スナク氏の任命に関して、元保守党首相の特権的な情報が「マイクロソフトに不当な優位性を与える可能性がある」との懸念が示されました。
スナク氏は、マイクロソフトとの間にいくつかの歴史があり、同社は英国政府の複数の省庁と活発な契約を結んでいます。2023年には、英国における新しいデータセンターとトレーニングに投資するため、マイクロソフトと25億ポンド(約4200億円)の契約を発表しました。
また、Acobaは「AIの最適な規制方法についての議論が続く中で、あなたの任命が英国政府内で不当なアクセスと影響を提供するものと見なされる合理的な懸念がある」とも指摘しています。
スナク氏は、英国の政策事項に関する助言を避け、マクロ経済や地政学的なトレンドに関する高レベルの視点に専念し、ロビー活動を避けると述べました。また、彼の給与は、今年初めに妻と設立した慈善団体「リッチモンドプロジェクト」に寄付する方針です。
元首相はまた、投資銀行ゴールドマン・サックスのシニアアドバイザーや、ベイン・キャピタルやマケナ・キャピタルのスピーチライターとしても活動しています。
スナク氏は、シリコンバレーのテクノロジー企業が政府との関係を調整する役割を担う初の英国政治家ではありません。スナク氏のシニア政治顧問であるリアム・ブース・スミス氏もアンソロピックで働いています。また、元自由民主党副首相のニック・クレッグ氏は、2025年1月までメタのグローバルアフェアーズ部門の社長を務めました。
米国では、シリコンバレーと政府の間の「リボルビングドア」は常に活発です。メタでは、クレッグ氏の後任として、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の副参謀長ジョエル・カプラン氏と、2024年にフロリダ州知事ロン・デサンティスの元顧問ダスティン・カーマック氏が政策チームに加わりました。マイクロソフトの現在のグローバルアフェアーズ部門の社長は、ジョー・バイデン元副検事総長のリサ・モナコ氏です。
