山西省の山西出版伝媒グループは11月3日、山西省の地域文化に特化した大規模言語モデル(LLM)「晋問AI」の正式サービスを開始したと発表しました。発表イベントでは専属のデジタルヒューマン「晋豆」も披露されました。
ポイント
- 山西省の地域文化に特化した初の垂直型LLMで、山西出版伝媒グループが建設を担当
- 基盤技術にはTencent HunyuanやDeepSeekなどの主流モデルを統合
- 知識呼び出し精度は99%、ハルシネーション率は1%以内、応答遅延は200ミリ秒以下
- 文化観光や文化創意など7つの分野向けAIエージェントを実装
- 公式サイトとミニプログラムで全機能の提供を開始
技術構成と精度への取り組み
「晋問AI」は、LLMとRAG(外部知識を検索して回答に反映する手法)、AIエージェントを組み合わせた方式を採用しています。基盤モデルにはTencent HunyuanやDeepSeekなどの技術を取り入れました。
知識ベースには、山西出版伝媒グループ傘下の8社の出版社が手がけた図書コンテンツを使用しています。これらは中国の出版業界で一般的な「三審三校」と呼ばれる厳格な校閲工程を経たものです。
LLMが事実と異なる回答を生成する「ハルシネーション」への対策も進めています。知識呼び出しの精度は99%に達し、ハルシネーション率は1%以内、応答遅延は200ミリ秒以下に抑えたとしています。核心となる文化データは暗号化して保存し、域外への流出を防ぐ仕組みです。
7つの文化AIエージェント
「晋問AI」は「1つの基盤、7つの知識ベース、複数のアプリケーション」という構成です。知三晋、識古建、会晋商、尋根脈、絵文創、訪名士、憶烽火の7つの文化AIエージェントを備えます。
- 絵文創:図書に収録された伝統文様などの資源をもとに、地域色のある文化創意案を生成し、3Dプリンティングで形にできる
- 尋根脈:山西省洪洞県の大槐樹にまつわる文化的シンボルを軸に、姓氏の起源や家族の歴史を解説する
- 識古建:撮影した中国の古建築について、建造年代や歴史的背景をその場で解析する
- 会晋商:晋商(山西省出身の商人集団)の歴史を体系的に整理し、現代の企業経営にも役立つ知見を提供する
文化観光の分野では、「AI+ARスマートグラス」を通じて携帯型ガイドとして使う取り組みも進めています。観光客に観光スポットの歴史や文化を没入型で解説するもので、現在は晋商博物院で契約・実装済みです。
これまでの評価と今後の展開
「晋問AI」は2026年1月に山西省のデータ分野の重点タスクリストに選ばれました。4月には山西省データ局の「文化産業標準デジタル化行業応用グループ」の組長単位に選出されています。
8月には山西省の「データ要素×」コンテストで最も技術革新賞を受賞しました。深圳文博会や北京国際図書博覧会、中国国際デジタル出版博覧会にも相次いで出展しています。
公式サイトとミニプログラムは全機能の調整を終え、すでにサービスを開始しました。プロジェクト側は、文化観光や関連産業の発展を後押しし、山西省の歴史文化をデジタル時代に伝えるきっかけにしたいとしています。