アメリカ・サンフランシスコに拠点を置く音声AIの開発を手がけるスタートアップ企業「Rime」は、企業の顧客対応を支援する技術開発を強化するため、シリーズAの資金調達ラウンドで2400万ドル(約37億2000万円)を調達したと発表しました。
現在、音声AIの分野では、営業やマーケティング、顧客サポートなどの電話対応を自動化する技術が注目を集めており、多くの企業が開発競争を繰り広げています。こうした中、2022年に設立されたRimeは、自社で構築した録音スタジオで独自の会話データを収録し、AIモデルの学習に活用することで他社との差別化を図っています。
同社によりますと、ウェブ上の音声データを無作為に収集するのではなく、独自の高品質なデータを用いることで、企業ごとのブランド名や業界特有の専門用語の正確な発音を実現しているということです。また、音素に基づくシステムを採用しており、顧客企業が特定の業界向けにモデルを再学習させる負担を大幅に軽減できるとしています。
共同創業者のリリー・クリフォード氏は、現在のAI音声技術について「ユーザーにとって魅力的な体験とは言えず、従来の自動音声応答システム(IVR)の有効性にはまだ及ばない部分がある」と指摘しています。
このため同社は、これまで別々に処理していた音声認識、言語モデル、音声合成のシステムを見直し、遅延を減らしてより自然な会話のやり取りを可能にする「音声対音声(speech-to-speech)」モデルの開発に注力する方針です。これにより、背景の雑音などの課題にも対応しやすくなるとしています。
同社の技術は、医療機関のメイヨー・クリニックをはじめ、飲食や航空、金融などの幅広い業界ですでに導入されています。会話の質が向上したことで、顧客が電話口に留まる時間が長くなるなどの成果が上がっているということです。
今回調達した資金を活用して、現在35人の従業員を増員し、モデル開発や技術部門の強化を図る方針です。また、メタやエヌビディアで音声研究に携わった専門家を最高科学責任者(チーフサイエンティスト)として新たに迎えたということです。
今回の資金調達は、ベンチャーキャピタルのM13 Venturesが主導し、Twilio Venturesなども参加しました。同社は昨年5月のシードラウンドでも550万ドル(約8億5000万円)を調達しています。投資家からは、遅延が少なく信頼性の高いモデルを追求する同社の技術的なアプローチが高く評価されているということです。
