ヒューマノイドロボットを開発する米アジリティ・ロボティクスは、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて株式市場に上場すると発表しました。純粋なヒューマノイドロボット企業の上場は初めてです。新規資本として4億6500万ドル(約721億円)を調達し、次世代機「Digit 5」の商用展開を加速させる方針です。
ポイント
- アジリティはSPAC合併で4億6500万ドル(約721億円)を調達し、ヒューマノイドロボット専業では初の上場企業となる
- 2026年上半期の売上は17万4000ドル(約2700万円)にとどまる一方、損失は3億6200万ドル(約561億円)
- 次世代機Digit 5は30社から総額3億ドル(約465億円)の契約見込み
- Digit 5は2027年のCESで披露され、同年末に広く提供開始予定
上場の背景と調達額
アジリティはSPACとの合併により、個人投資家や私募資金から新たに4億6500万ドル(約721億円)を調達します。SPACは、上場を目指す企業が既存の上場企業と合併して株式公開を果たす手法です。
CEOのペギー・ジョンソン氏は「アジリティは踊るロボットやバク転するロボットは見せていない」と述べ、反復的な手作業に特化する戦略を強調しました。
会社の成り立ちと実績
アジリティは2015年、オレゴン州立大学の研究者グループによって設立されました。二足歩行を安全に実現する技術の研究が起源です。
同社の「Digit」は、シェフラー、GXO、トヨタ自動車カナダ製造、メルカド・リブレなど9社の顧客の産業現場で導入されています。GXOの物流施設では10万個以上の大型コンテナの移動に使われています。
財務状況と課題
2026年上半期の売上は17万4000ドル(約2700万円)で、その大半は関連当事者からのものでした。一方、同期間の損失は3億6200万ドル(約561億円)に達しています。
新たな資本を活用し、いかに早く事業を拡大できるかが問われています。
Digit 5の計画
アジリティは次世代機Digit 5で、30社から総額3億ドル(約465億円)の契約を見込んでいます。Digit 5は人間の周囲でも安全に動作でき、従来のように隔離された作業セルに限定されません。
ジョンソン氏によると、契約締結には処理能力、稼働率、配置精度などの非公開目標を達成する必要があります。プロトタイプは2027年のCESで公開され、同年末に広く提供される予定です。
顧客獲得と技術的課題
顧客候補は、本格展開の前に50万ドル(約7750万円)を支払って現場での概念実証を行う必要があります。2026年5月時点で4社が契約済みです。
Digitは50ポンド(約23キロ)の物体を持ち上げ、98%の精度で配置できますが、複雑な操作作業は依然として苦手です。生成AI技術がどこまで器用さを実現するかは不透明です。
今後の見通し
SPACで調達した資金は現在のニーズを満たすものの、会社が自立できるかは不明です。同社は生産施設で年間1万台を生産できるとしています。
共同創業者でCTOのジョナサン・ハースト氏は「まずコンテナから始め、次にピッキング、そして段ボールの扱いへと進む」と語り、段階的な能力拡大を目指す考えを示しました。
