アメリカの911コールセンターが人手不足に対応するため、AIを活用して非緊急の電話対応を行う方針を発表しました。
このAIを開発したのは、Aurelianという企業で、同社は2024年5月にAIアシスタントを導入しました。現在、ワシントン州スノホミッシュ郡やテネシー州チャタヌーガ、ミシガン州カラマズーを含む複数の911センターで運用されています。
AurelianのAI音声エージェントは、騒音苦情や駐車違反、盗難報告など、緊急性の低い問題を処理するよう設計されています。これにより、警察官の即時対応が不要な場合や、現場への派遣が不要な場合に役立つということです。
AIは、本当の緊急事態を認識し、すぐに人間のディスパッチャーに転送するよう訓練されています。それ以外の場合、システムは重要な情報を収集し、報告書を作成するか、警察署に直接詳細を伝えるという仕組みです。
911センターがAurelianを採用している主な理由として、常に人手不足であることが挙げられます。ディスパッチャーの仕事は高圧的で、業界の中でも特に離職率が高いとされています。多くのディスパッチャーが残業を強いられ、12時間から16時間の勤務が報告されることもあります。
AurelianのCEO、マックス・キーナン氏は、「911に最も注力している理由は、この業界が最も深刻な問題を抱えているからです。通信担当者が休憩を取る機会を持つべきだと考えています」と述べています。
NEAのパートナー、ムスタファ・ニームチワラ氏は、「既存の人間を置き換えるのではなく、雇いたくても雇えなかった人を置き換えることができる」と語っています。
Aurelian以外にも、非緊急の電話対応に取り組むAIスタートアップがあります。Hyperは630万ドル(約10億円)のシードラウンドを調達し、最近ステルスモードを解除しました。また、2019年に設立されたPreparedも、最近AI音声ソリューションを緊急対応に追加しました。
しかし、Aurelianは自社の製品が競合他社をリードしていると考えています。NEAのニームチワラ氏によれば、Aurelianは実際に運用され、ライブコールを処理している唯一の企業であり、毎日何千件もの実際のコールに対応しているということです。