オープンAIのCEOであるサム・アルトマン氏とマイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏は、AIに必要な電力の量について明確な見解を持っていないと発表しました。
この問題は、ソフトウェアを中心とする企業であるオープンAIやマイクロソフトを困惑させています。技術業界では、AIの展開における主要な障壁として計算能力が注目されていますが、電力の確保に遅れが生じているということです。マイクロソフトは、契約した電力量に対して過剰なチップを注文してしまったとしています。
ナデラ氏はBG2ポッドキャストで、「この需要と供給のサイクルは予測できない」と述べ、「現在の最大の問題は計算能力の過剰ではなく、電力とデータセンター建設の迅速化が課題だ」としています。さらに、「もしそれができなければ、在庫のチップを使用できない状況になる。実際、これが私の今日の問題だ」と述べました。
アメリカでは過去10年以上、電力需要は横ばいでしたが、データセンターからの需要が増加し、電力会社の新しい発電能力計画を上回っています。そのため、データセンター開発者は、電力網を介さずに直接電力を供給する「ビハインド・ザ・メーター」契約を採用しています。
アルトマン氏もポッドキャストで、問題が生じる可能性があるとし、「非常に安価なエネルギーが大量に供給されれば、既存の契約で多くの人が損をする可能性がある」と述べました。また、「インテリジェンス単位あたりのコストが劇的に下がれば、利用が増え、インフラの整備が追いつかなくなる」としています。
アルトマン氏は核エネルギー企業やソーラースタートアップへの投資を行っていますが、これらの技術はまだ広範な展開には至っていません。化石燃料を基にした技術も建設に時間がかかるということです。
技術企業は、低コストで排出物がないソーラーエネルギーを迅速に導入しています。太陽光発電は半導体と類似した技術であり、モジュールを組み合わせることで強力なシステムを構築できるという点で共通しています。
しかし、ソーラーとデータセンターの建設には時間がかかり、需要の変化はこれらのプロジェクトの完成よりも速いことがあります。アルトマン氏は、AIが効率化されるか、予想される需要が成長しない場合、電力プラントが余剰になる可能性があると認めています。
それでも、アルトマン氏は、資源の効率的な使用が全体の需要を増加させるというジェボンズの逆説を信じているようです。「もし計算能力のコストが劇的に下がれば、利用が急増し、現在のコストでは経済的に成り立たない多くのことが可能になる」と述べています。
