パソコン内に保存された膨大な動画や音声、文書などのファイルをAI(人工知能)を用いて検索できるサービスを展開するアメリカのスタートアップ企業「Clipto(クリプト)」は、新たに1500万ドル(約23億2500万円)の資金調達を実施したと発表しました。これにより、同社の企業評価額は2億5000万ドル(約387億5000万円)に達したということです。
生成AIの普及により、デジタルコンテンツの制作が容易になる一方で、膨大なデータの管理が課題となっています。Cliptoが提供するサービスは、利用者のパソコン内にある動画や音声、画像、会議録などのファイルをインデックス化し、整理するものです。利用者はフォルダを探し回る代わりに、探している内容を文章で説明したり、「ChatGPT」や「Claude」などのAIツールに指示したりすることで、目的のファイルを見つけ出すことができるとしています。
創業者のヘンリー・カン氏は、約20年にわたり関連技術の研究開発に取り組んできました。同氏は「AI時代において、コンテンツが不足しているのではなく、むしろパソコン内に使われないまま眠っている映像データが多すぎるのが現状だ」と指摘しています。他のAI企業が新たなコンテンツの生成に注力する中、Cliptoは既存のファイルを検索し、再利用するための支援に特化する戦略をとっています。
同社のサービスは当初、動画クリエイター向けに開発されましたが、現在では弁護士や医師、研究者、学生など幅広い層に利用が拡大しています。同社によりますと、サービス開始以来の利用者は3000万人を超え、数十万人の有料会員を獲得しているということです。また、年間経常収益(ARR)はすでに1500万ドル(約23億2500万円)に達しており、純利益ベースで黒字を維持しているとしています。
さらに同社は最近、AIアプリケーションが外部の情報源と連携するための規格「MCP(Model Context Protocol)」への対応を開始しました。ファイルの検索には利用者の明確な指示と承認が必要であり、データ処理はクラウドを経由せず、すべて利用者の端末上で行われるため、安全性にも配慮しているということです。
AIを用いた検索機能は、アメリカのIT大手であるアドビやアップル、グーグルなども自社製品に導入を進めています。これに対しCliptoは、特定のサービスに依存せず、多様な形式のファイルを横断的に検索できる点や、外部のAIツールと連携できる点を強みとして、大手企業に対抗する方針です。今回調達した資金は、一般向けのパソコンでシステムを稼働させるためのAIモデルやインフラの整備、さらに多くのAIツールとの連携強化に充てられるということです。
