Googleは、AI検索機能やAIチャットボットの導入が出版サイトへのトラフィックを減少させているとの指摘について、これを否定したと発表しました。Googleによれば、検索エンジンからウェブサイトへのオーガニッククリック数は年々「比較的安定している」ということです。また、平均クリックの質もわずかに向上しているとしています。
Googleのリズ・リード副社長は、新しいブログ投稿で「第三者の報告は不正確で、劇的なトラフィックの減少を示唆していますが、多くは誤った方法論や孤立した事例、AI機能導入前のトラフィック変動に基づいています」と述べています。
具体的なデータは示されていないものの、Googleの主張が正しいとしても、AIが影響を与えていないわけではないとされています。リード副社長は「ユーザーの傾向が異なるサイトにトラフィックを移動させているため、一部のサイトではトラフィックが減少し、他のサイトでは増加している」と認めています。
Googleは、検索エンジンを長年にわたって改良し、検索結果ページで直接質問に答える機能を追加してきました。現在ではAIを用いた「AIオーバービュー」を検索結果の上部に表示していますが、これが検索の風景を大きく変えているとは考えていないとしています。
リード副社長は「人々はフォーラム、ビデオ、ポッドキャスト、投稿など、実際の声や第一人者の視点を求めてサイトを訪れることが増えている」と説明しています。このことから、Google.comが必ずしもウェブの最初の訪問先ではないことが示唆されています。
さらに、Googleは、AIがウェブ出版者にとって露出を増やす機会であると述べています。「AIオーバービューにより、人々はより多くのリンクを目にするようになった」とリード副社長は述べています。「より多くのクエリとリンクは、サイトが表示されてクリックされる機会を増やす」ということです。
しかし、AIがクリック数の差を埋めているわけではないと報告されています。Similarwebの最新の調査によれば、ウェブ上でのニュース検索がニュースサイトへのクリックを伴わない割合は、2024年5月のAIオーバービュー導入時の56%から、2025年5月には69%に増加したということです。
Googleはこの傾向を認識しており、広告に依存しないマイクロペイメントやニュースレター登録など、減少するトラフィックを収益化するための新しい製品を出版者向けに提供しています。
Googleは「AIは検索トラフィックの終わりではない」とするPRを展開していますが、これは状況がより深刻であることを示しているかもしれません。Googleは「毎日、何十億ものクリックをウェブサイトに送っている」と主張していますが、出版者には自分たちのデータよりもGoogleの主張を信じてほしいと望んでいるかのようです。