OpenAIのグレッグ・ブロックマン社長は、最近の『ウォール・ストリート・ジャーナル』主催のテックサミットで、将来は死を自ら選べるようになる可能性があるとの見方を示しました。同氏は断言は避けたものの、生物学分野の突破は「人類だけに関わるものではない」と強調しています。
ポイント
- OpenAIのブロックマン社長が、死が選択肢になり得るかは「それ自体が考える価値のある問題だ」と発言
- 今後12〜18か月で、AIが医療・健康・疾病治療に真に見える成果をもたらすとの見通しを示した
- イーロン・マスク氏も今年1月、寿命延長やある種の不死は「完全に解決可能」と発言
- マスク氏は10月30日にも「長寿時代がまもなく到来する」と述べた
- AIはDNA配列の読み取りから、新しい遺伝暗号の書き出しや実験の自動化へと役割を広げている
ブロックマン氏の発言内容
ブロックマン氏は、人々がさまざまな苦痛を抱えており、こうしたことは実現する可能性があると語りました。死が選択肢になり得るかどうかについては「それ自体が考える価値のある問題だ」と述べています。
同氏はタイムラインも示しました。今後12〜18か月で、AIは医療・健康と疾病治療において、真に見える成果をもたらす突破を生むという見通しです。
マスク氏との共通点
この論調はイーロン・マスク氏の発言とも通じます。マスク氏は今年1月、ニューラリンクについて語った際、寿命の延長やある種の不死は「完全に解決可能」だと述べました。
その理由として、人体の各部分の老化は高度に同期しており、背後には統一された生物時計があると説明しています。「あなたは生まれながらにして死のプログラムを設定されており、それを変えればより長く生きられる」と語りました。
マスク氏は10月30日にも「長寿時代がまもなく到来する」と述べています。ブロックマン氏とマスク氏の見解の一致は、この判断に重みを加えているといえます。
遺伝子を「書く」AI
ブロックマン氏の楽観論は空論ではありません。生物学におけるAIの役割は、DNA配列の読み取りから、EvoやEvo 2のような生物学的大規模言語モデル(LLM)を用いて、ゼロから新しい遺伝暗号を書き出すところまで広がっています。
さらにAIは、エンドツーエンドの科学研究を担い始めました。査読評価では、RobinやOpenAI GPT-Rosalindに代表されるマルチエージェントフレームワークが、数百本の論文を独立して読み通し、大規模なCRISPRマップを横断分析し、治療法を提案し、候補薬を選別できるようになったといいます。その結果は実際の研究室でも検証されています。
現代のラボロボットも、あらかじめ決められた手順に固執せず、センサーとAIエージェントに接続し、リアルタイムの状況に応じて実験パラメータを動的に調整します。
「死が選択になる」ことはまだ遠い未来の判断ですが、AIが遺伝子を読み、暗号を書き、実験を行うという三つの能力を同時に握ったとき、不死は初めて哲学命題から分解可能な工学問題へと変わったといえます。