バッテリーは電子機器を大きく進化させてきたが、いつかは必ず切れる。スタートアップのRadianXは、ペロブスカイト太陽電池を使って、ポータブル機器やエッジデバイスが充電不要で動き続ける世界を目指している。同社はこのほど、商用生産ラインの構築に向けて500万ドル(約7億7500万円)を調達したと発表した。
ポイント
- RadianXはペロブスカイト太陽電池を開発し、屋内での発電効率が従来の2倍
- 500万ドル(約7億7500万円)のシード資金を調達、さらに400万ドル(約6億2000万円)の投資を受けて専用生産ラインを建設
- 電子書籍リーダーやIoTセンサーなど、充電不要のデバイス向けに電源パッケージを提供予定
- パネルは厚さ0.7mmまで薄くでき、サイズも自由に設計可能
ペロブスカイト太陽電池の特徴
RadianXが開発したのは、ペロブスカイトと呼ばれる材料を使った新型太陽電池だ。屋外での性能は既存の太陽電池と同等だが、屋内での光エネルギー変換効率は2倍優れている。
共同創業者でCOOのジョシュ・ダグラス氏は「屋外でも屋内でも、あらゆる光子を集めてデバイスを長く動かし続けられる。永遠に動かすことも可能だ」と話す。
この屋内での高効率が、同社が「エッジエナジー」と呼ぶ新市場の鍵となる。充電不要の電子書籍リーダーや、電池交換が不要なIoTセンサーなどが想定されている。さらに、バッテリーの制約で実現できなかった長時間稼働ロボットやウェアラブル端末への応用も期待される。
資金調達と生産計画
RadianXはSOSVとTwynamが主導するシードラウンドで500万ドル(約7億7500万円)を調達した。One Small Planet、Sachsen Ventures、Avila VC、California Innovation Fund、quantumEDGE、Riceberg Ventures、Alumni Venturesも参加した。
さらに、Pacific Union Technology Precision Manufacturingが400万ドル(約6億2000万円)の非希薄化投資を行い、RadianX専用の生産ラインを建設する。
技術の詳細と強み
太陽電池を使った電卓は数十年前から存在するが、現代のデバイスの電力需要が従来の太陽電池の能力を超えたため、最近は見過ごされてきた。
CEOのビビアン・クー氏は「鍵は電力密度だ。ペロブスカイトが注目される理由は高い電力密度にある」と説明する。
ペロブスカイトはまだシリコン系太陽電池より高価で、耐久性も劣るが、電力供給力でそれを補う。RadianXの1.2メートル×0.6メートルのパネルは22.33%の効率で発電し、同社によれば記録的な性能だという。
耐久性についても、屋内向けに特化することで消耗が少なく、業界標準の耐久性基準を満たしている。パネルは厚さ0.7mmまで薄くでき、サイズも自由に設計できる。
また、RadianXはペロブスカイトに最適化したパワーエレクトロニクスも開発している。既存の電子機器はシリコン系パネル向けに調整されているが、「シリコンは光照射特性が大きく異なる」とクー氏は指摘する。
今後の展開
RadianXは他の太陽電池メーカーと異なり、パネル単体を販売する計画はない。クー氏は「RadianXはこれらをパッケージ化し、デバイスメーカーが心配する必要のないものとして販売しようとしている」と述べた。
最終的に、両氏は電子書籍リーダーから工場のセンサー、さらにはまだ想像もしていない用途まで、同社の電源パッケージが搭載されることを期待している。
