SNS大手のX(旧ツイッター)は、アプリ内の「おすすめ」タイムラインを表示するアルゴリズムや、投稿の順位付けを行うシステムのプログラム(ソースコード)を大幅に無償公開したと発表しました。あわせて、ユーザーの投稿がシステムの制限を受けているかどうかを確認できる新たな機能を追加するということです。
発表によりますと、アプリを開いた際に標準で表示される「おすすめ」タイムラインのソースコードが、ソフトウェア開発のプラットフォーム「GitHub」上で公開されました。今回は、投稿を評価する際の基準となる設定やフィルター機能など、詳細なデータが追加されています。これにより、公開されるプログラムの規模は従来の10倍から15倍に拡大したということです。
Xのプロダクト担当バイスプレジデントであるキース・コールマン氏は、「ユーザーごとに投稿を抽出し、順位付けを行う中核的なプログラムが確認できるようになります。ルール違反の可能性があるコンテンツを除外するシステムも閲覧可能です」と説明しています。
さらに、ユーザー自身のアカウントや投稿が、Xのシステムによってどのような影響を受けているかを確認できるツールも提供されます。過去1か月に10回以上投稿したユーザーを対象に、アプリの設定画面から自身の統計データをダウンロードできるようになる方針です。このデータには、過去1か月間にアカウントや投稿に対して何らかの制限(いわゆる「シャドウバン」など)がかけられたかどうかが示されます。
専門知識のないユーザーでも、このデータを大規模言語モデル(LLM)などのAIに読み込ませることで、内容を解説させることが可能だとしています。この機能はまず、作成から1年以上経過したアカウントを対象に試験的に導入され、その後、対象を拡大する計画です。
Xは公開に先立ち、外部の研究者にプログラムを事前公開しており、研究者らは独自の環境でXの評価システムを稼働させることに成功したということです。コールマン氏はこの成果について、透明性向上に向けた大きな節目だと評価しています。
また、外部の開発者が公開されたプログラムに対して改善案を提案できる仕組みも設けられます。コールマン氏は、「アルゴリズムが一般に公開されるだけでなく、一般の人々によって改善されていくことは素晴らしいことです」と期待を示しています。
一方で、スパム投稿などの悪用を防ぐため、AI「Grok」を用いてルール違反を予測するシステムなどは今回の公開対象から除外されています。
今回の措置は、Xのアルゴリズムが政治や選挙、偽情報の拡散に与える影響への懸念に対応する狙いがあるとみられます。同プラットフォームは長年、政治家や著名人に利用されてきましたが、現在はトランプ大統領の当選を支援した世界有数の資産家(イーロン・マスク氏)によって所有されています。
しかし、マスク氏による買収以前から、透明性の欠如に対する批判は存在していました。以前には、アメリカ議会の共和党議員らが「運営側が過度に左派寄りになっている」と主張し、自分たちの投稿が本人に気づかれないまま意図的に隠される「シャドウバン」の対象になっていると訴えていました。当時の運営側はこれを一貫して否定していました。
コールマン氏は、「誰もがプラットフォーム上での投稿の拡散状況を評価し、公平性を検証できるようにすることが私たちの目標です。批判に耳を傾け、人々が信頼できる公平なシステムを作りたい」と強調しています。
Xは非公開企業となったことで、証券取引委員会(SEC)への報告義務がなくなり、利用者数や収益などの情報開示が減少したため、全体的な透明性が低下したとの指摘も出ていました。しかし現在は、宇宙開発企業スペースXとの合併に伴い、月間アクティブユーザー数などの指標は再び公開されているということです。
