科学技術の発展を支援する「Xプライズ財団」のピーター・ディアマンディス創設者は、世界的な監視システムの拡大を肯定し、「人間は監視されている方が適切な行動をとる」との見解を明らかにしたということです。
同氏は今週、SNSの「X」や自身のブログでこの考えを共有しました。ブログの中では、「究極の透明性が到来しつつある。誰も隠れることができない未来だ」と述べています。また、家庭用カメラからスマートフォン、自動運転車、ドローン、そして地球全体を毎日撮影する人工衛星に至るまで、地球が多層的な「センサーの生態系」に覆われると予測しています。
こうした見解は、IT大手オラクルの創業者であるラリー・エリソン氏が2024年のイベントで、「常に記録・報告されることで、市民は最善の行動をとるようになる」と述べた内容と一致するとしています。
ディアマンディス氏の発言は、地球観測衛星の最大手「プラネット」のウィル・マーシャル最高経営責任者(CEO)との対談がきっかけになったとみられています。マーシャルCEOは対談の中で、「もはや誰も隠れることはできない。世界中が説明責任を果たすことになる」と語ったということです。
実際に、防犯カメラや車載カメラ、スマートフォンのデータ収集など、監視技術はすでに日常生活に広く普及しています。ディアマンディス氏は、プライバシーがなくなる社会に向けた対策として、「最善のプライバシー戦略は誠実さである」と主張しています。さらに、「見られても困らない生き方」を次世代に教えるべきだとしています。
一方で、一般の市民がこうした監視技術の拡大をそのまま受け入れているわけではないということです。アメリカの一部地域では、警察などの法執行機関によるデータへのアクセスが報じられた後、市民が監視カメラをゴミ袋で覆い隠すなどの抗議活動が起きています。また、IT大手メタが販売するカメラ付きスマートグラスに対しても、プライバシーに関する懸念から訴訟が提起されています。
ディアマンディス氏は、「透明性は道具であり、道具に倫理はない」と主張しています。しかし、監視インフラを管理する一部の巨大IT企業が「適切な行動」の定義を決定づける危険性については言及していません。
同氏は「透明性が双方向に向かうことで信頼が築かれる」としていますが、監視技術が少数の企業に集中する中で、そのような均衡を保つことは極めて困難だという指摘も出ています。
