アメリカの調査会社などがまとめた最新の報告書によりますと、宇宙開発大手やAI=人工知能の開発を手がける有力企業の上場に伴う経済的価値が、過去25年間のアメリカのIT企業の全上場規模を上回る見通しであることが明らかになりました。
アメリカのベンチャーキャピタル協会(NVCA)と調査会社ピッチブックが共同で発表した報告書によりますと、未公開株市場の資金がAI分野に集中しているということです。報告書は、すでに新規株式公開(IPO)を果たした宇宙開発大手「スペースX」に加え、AI開発の「オープンAI」や「アンソロピック」の上場が実現した場合、「2000年以降にアメリカのベンチャーキャピタルが支援したすべての企業の上場規模を上回る価値を生み出す」と指摘しています。
報告書によりますと、スペースXはすでに1兆7700億ドル(約274兆3500億円)の評価額で上場したということです。さらに、アンソロピックとオープンAIの評価額もそれぞれ数兆ドル規模に達するとみられ、これら3社の合計額は4兆ドル(約620兆円)を超える見通しだとしています。アメリカ証券取引委員会(SEC)のデータによりますと、昨年のアメリカ国内におけるIPOの資金調達額はわずか700億ドル(約10兆8500億円)にとどまっており、今回の規模の大きさが浮き彫りになっています。
一方で、この比較にはいくつかの留意点があるということです。中国の「アリババ」などアメリカ以外の企業が含まれていないほか、手元の現金ではなく「創出された価値」を基準に計算されているとしています。また、スマートフォンの普及や動画共有サービスの開始など、主要な技術革新の多くはすでに上場していた企業によってもたらされたため、IPOの統計には反映されていないということです。
それでも、過去25年間には、2004年のグーグル、2010年のテスラ、2012年のメタなど、現在世界で最も価値のある企業の上場が相次ぎました。同じ期間に、ビジネス向けSNSなどのIT企業がそれぞれ200億ドル(約3兆1000億円)以上で買収されています。2019年には配車サービス大手ウーバーが840億ドル(約13兆200億円)で上場し、当時は巨額だと注目されましたが、スペースXの評価額の5%にも満たない規模だということです。
このような事態の背景には、企業が株式を公開せず未上場のままでいる期間が長期化している傾向があるとしています。また、AIの学習には膨大な設備投資が必要となるため、開発企業が大規模な資金調達を急ぎ、企業価値が押し上げられているということです。それでも、今回の新規株式公開の規模は業界の過去の事例をはるかに超えており、既存の金融インフラを限界まで押し上げているとしています。
