企業向けAIを提供するServal社は、4700万ドル(約730億円)のシリーズAラウンドの資金調達を発表しました。このラウンドはRedpoint Venturesが主導し、First Round、General Catalyst、Box Groupなどの著名なベンチャーキャピタルが参加しました。さらに注目すべきは、Perplexity、Mercor、Together AIなどの主要なAI企業がクライアントであるということです。
Serval社は、エージェントAIモデルを用いてITサービス管理を自動化することを目指しています。同社のアプローチは、エージェントAIの利点を活用しつつ、その落とし穴を避けるユニークなものです。具体的には、日常業務のための内部オートメーションをコーディングするエージェントと、ユーザーの要求に応じてツールを呼び出すヘルプデスクエージェントを分けています。
Serval社のCEOであるジェイク・スタウチ氏は、ツール構築のプロセスをできるだけ簡単にすることが鍵だと述べています。「オートメーションを構築する際の追加コストを感じさせたくない。我々は、手動で一度行うよりも、永続的に自動化する方が簡単であることを目指しています」とスタウチ氏はTechCrunchに語りました。
タスクを2つのエージェントに分けることで、管理者は権限を監視することができます。オートメーションが作成されると、管理者はその使用条件を設定し、過剰なヘルプデスクエージェントに対する防御策を提供します。
企業のクライアントは、暴走するAIシステムのリスクを十分に認識しています。これは、Serval社が単一の汎用ヘルプデスクエージェントを採用しなかった理由の一つです。
「誰かがSlackで『会社のデータをすべて削除したい』と言って、AIエージェントが『了解しました、すべてのデータを削除します』と応答するような事態は避けたい」とスタウチ氏はTechCrunchに述べています。「その代わりに、『会社のデータをすべて削除するツールはありませんが、パスワードをリセットするツールやその他のタスクを行うツールはあります』と言うでしょう。」
ツール自体は決定論的であり、複雑な権限設定が可能です。例えば、特定のマルチファクター認証プロセスの後や特定の時間枠内でのみ特定の操作を許可するといった設定が可能です。これらのルールを変更する必要がある場合、コードベースにアクセスして変更するAIエージェントが用意されています。
エージェントAIシステムの監視という共通の課題に対する新しいアプローチです。「AIエージェントが何をしているかを完全に可視化し、制御することが重要です。それを可能にするのが、Servalを使ってツールを構築し、その背後の権限や承認をカスタマイズすることです」とスタウチ氏は述べています。
