アメリカのIT大手IBMは、企業向けのAI(人工知能)事業を強化するため、オープンAIと新たに提携したと発表しました。IBMのグローバルなコンサルティング事業を通じて、より多くの企業顧客にオープンAIの技術を提供するとしています。
今回の提携の具体的な条件などは明らかにされていません。IBMは1年足らず前にも、AI開発企業のアンスロピック(Anthropic)と同様の提携を結んでいました。IBMによりますと、今後は両社で共同してAI製品の販売促進を行うほか、金融、政府機関、通信、小売りなどの分野に向けた業界特化型のソリューションを開発する方針です。
提携の一環として、IBMは自社のコンサルティング部門内にオープンAI専門の組織を新設します。今後数か月の間に、主に既存の従業員を再教育する形で、数万人規模のコンサルタントに対してオープンAIの技術に関する研修と認定を行うということです。
研修は、オープンAIのプログラミング支援AI「Codex」やAPI、サイバーセキュリティなどの分野に重点を置いて行われます。また、オープンAIのパートナーネットワークを通じて訓練を受けた専門家集団も新たに結成するとしています。
さらにIBMは、「GPT-5.6」や「Codex」、「ChatGPT Work」といったオープンAIの最新モデルを、自社のコンサルタント向けAIプラットフォームに統合する方針です。これにより、顧客企業の中核的な業務へのAI導入を支援するとしています。
AIの開発競争が激化する中、各社の焦点は高性能なモデルの開発から、企業顧客の獲得や大規模なシステム導入へと移りつつあります。オープンAIはこれまでにも、世界的なシステムインテグレーターと協力して企業向け事業を拡大する戦略をとっており、今回の提携もその一環とみられます。
一方、IBMにとっても今回の提携は、AI分野におけるパートナーシップの拡大を意味します。同社は、特定のAIモデルに依存しない戦略を掲げており、自社開発のAIモデル「Granite(グラナイト)」と他社の技術を組み合わせて提供しています。自社のAIプラットフォームやコンサルティング事業を通じて、複数のAIモデルを統合・提供する役割を強める狙いがあります。
IBMは先月、四半期決算が市場の予想を下回ったことを受け、2026年の収益見通しを下方修正しました。今回の提携には、AI事業の成長を加速させる狙いもあるとみられます。アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は前回の決算発表で、「AIは引き続き長期的な成長の原動力である」と強調し、AIの普及が既存のメインフレーム(大型汎用コンピューター)事業の需要を補完していると述べていました。
両社は今年6月にも、サイバーセキュリティ分野で提携を結んでいました。今回の新たな契約により、オープンAIのモデルとIBMの自律型セキュリティサービスを統合し、協力関係をさらに拡大するということです。
