アメリカのバッテリーリサイクル企業「アセンド・エレメンツ」は、連邦破産法第11条の適用を申請し、経営破綻したと発表しました。アメリカ国内での電気自動車(EV)市場の減速や、政府の補助金打ち切りによる資金繰りの悪化が背景にあるということです。
同社のリン・オースティンCEOは、SNSを通じて声明を出し、「克服困難な財務上の課題に直面した」としています。同社にはこれまで、投資家からおよそ9億ドル(約1395億円)の資金が投じられており、今回の破綻は大きな打撃となるとみられています。
経営悪化の主な要因として、アメリカにおけるEV市場の成長鈍化が挙げられています。さらに、ケンタッキー州で建設中だった施設に対し、アメリカのトランプ政権が3億1600万ドル(約489億8000万円)の補助金を打ち切る決定を下したことも影響したとみられます。当時、すでに2億400万ドル(約316億2000万円)が支給されていましたが、同社は不足分を補うため、追加の資金調達を迫られていたということです。
アメリカのEV市場は現在、厳しい状況に直面しています。アナリストによりますと、昨年9月の税額控除の終了を前に販売が急増したものの、その後は回復に至っていません。このため、複数の自動車メーカーがアメリカ国内での新型EVの生産計画を縮小する方針です。例えば、ドイツのフォルクスワーゲンは、テネシー州の工場でEV「ID.4」の生産を終了し、ガソリン車の生産に切り替えると発表しています。
アセンド・エレメンツは、廃棄されたバッテリーから重要鉱物を抽出し、新たなバッテリー材料に変換する独自の技術を開発していました。しかし、地元メディアによりますと、ケンタッキー州で進めていた大規模な施設の建設は、訴訟や工期の遅れに悩まされていたということです。
バッテリー業界は競争が激化しており、特に中国のメーカーが国家の強力な支援を受けて市場での優位性を高め、価格競争を主導しています。一方で、アメリカの同業他社である「レッドウッド・マテリアルズ」などは、需要が急増しているデータセンター向けの定置用蓄電池の分野に事業を転換し、短期的な収益を確保する戦略をとっています。
アセンド・エレメンツの破綻は、アメリカ国内におけるバッテリーのサプライチェーン構築や、技術の自立化に向けた課題を浮き彫りにしています。
