アメリカのIT大手アップルは、イギリス政府が求めている利用者の暗号化データへのアクセスについて、不服として異議を申し立てたと発表しました。
イギリスの有力紙フィナンシャル・タイムズの報道によりますと、アップルはイギリスの「調査権限審判所」に対し、不服申し立てを行ったということです。この審判所は、政府の監視活動に関する訴訟を専門に扱う機関です。イギリス政府は昨年、アップルに対して「技術的要件通知」と呼ばれる秘密裏の法的命令を出し、データが暗号化されている場合でも、利用者の情報へのアクセスを企業に義務づけました。
専門家などは、この要求について、アップルのクラウドサービス「iCloud」のバックアップに対する事実上の「バックドア(裏口)」の設置を求めるものだと指摘しています。アップルは「高度なデータ保護(ADP)」と呼ばれる機能を提供しており、これを有効にするとデータはエンドツーエンドで暗号化されます。これにより、利用者本人以外はアップルであってもデータにアクセスできない仕組みとなっています。アップルは、利用者のプライバシーとセキュリティを最優先する方針を掲げており、今回の要求に強く反発しています。
アップルとイギリス政府の間では、過去にも同様の対立がありました。2025年初頭、イギリス政府はアップルに対し、利用者の暗号化されたiCloudバックアップへのアクセスを求める秘密命令を出しました。しかし、この命令はアメリカのトランプ政権の介入により、その後取り下げられたということです。
この最初の命令を受け、アップルはイギリス国内の利用者に対し、高度なデータ保護機能の提供を停止する措置をとりました。その後、今年10月にイギリス政府が2度目となる命令を出したため、アップルは今回の異議申し立てに踏み切ったとしています。
なお、この件について、アップルはこれまでのところメディアの取材に対して公式なコメントを出していないということです。
