アメリカのIT大手アップルは、対話型AIを手がけるオープンAIなどを相手取った営業秘密の侵害をめぐる訴訟で、早期の証拠開示手続きを求める反論書面を裁判所に提出したと発表しました。
アップルは今月、元従業員やオープンAI、および関連企業の「ioプロダクツ」に対し、営業秘密を不正に流用したとして訴訟を起こしています。これに伴い、文書や通信記録の早期提出、デバイスやアカウントのフォレンジック調査、および重要証人の証言録取などを求める「早期の証拠開示手続き」を要請していました。
具体的には、通常の証拠開示プロセスを待つのではなく、30日以内の書面回答と50日以内の企業証言を求めています。アップルは、自社の独自情報や営業秘密がどの程度の規模で不正利用されたかを特定するためには、早期の証拠開示が不可欠であるとしています。
また、アップルはこの要請の翌日に、裁判が進行する間、被告側がアップルの機密情報にアクセスしたり使用したりすることを禁じる仮処分も申請しています。被告側が機密情報を使用する期間が長引くほど、被害の回復が困難になるというのがアップルの主張です。
同社は「差し止めが行われないまま時間が経過すれば、オープンAIは盗まれた情報を自社のハードウェア開発に組み込むことができ、被害はさらに拡大する」としています。
これに対し、オープンAIなどの被告側は反対書面を提出していました。通常の証拠開示プロセスと時期が重なるため早期の手続きは不要であると主張したほか、アップルの要求は「広範すぎる」「負担が大きい」「不適切な目的(競合製品の計画や戦略を覗き見ること)に基づいている」と反論していました。
今回アップルが提出した書面は、この被告側の主張に対する反論です。アップルは、初期段階での限定的かつ緊急の証拠開示を命じることで、被告側が定型的な異議申し立てによって手続きを数週間から数か月遅らせることを防ぐことができるとしています。
さらにアップルは、対象となる文書の期間を「2023年8月1日以降」に限定する妥協案も提示しました。これは、元従業員がアップルを退社してオープンAIに加わる約6か月前にあたるということです。
アップルは、証人の尋問を数か月から数年も待つことになれば、その間にオープンAIがアップルのハードウェアに関する営業秘密を利用して独自のデバイスを開発・発売するおそれがあると強い懸念を示しています。
この早期証拠開示を求める動議に関する審問は、10月1日に予定されているということです。
