アメリカのIT大手アップルは、AI(人工知能)の開発を手がけるオープンAIを相手取った訴訟で、元従業員のパソコンから企業秘密が使用された「衝撃的な証拠」を発見したと発表しました。事態の解明に向け、早期の証拠開示手続きを求めていく方針です。
アップルは今年7月、元従業員らがオープンAIの利益のために企業秘密を盗み出したとして提訴しました。その後、裁判所に対して、オープンAIの幹部や従業員への早期の証拠開示や証言録取を求めています。一方、オープンAI側は訴えの棄却を求めているということです。
訴訟の対象となっている元従業員の1人であるチャン・リュウ氏は、アップルでシステム電気エンジニアとして勤務したのち、今年1月にオープンAIに転職しました。アップルは、同氏が退職後にシステムの脆弱性を悪用し、機密の技術ファイルをダウンロードしたと主張しています。
今回、アップルが裁判所に提出した文書によりますと、リュウ氏の代理人弁護士から提出されたパソコンを初期解析した結果、新たな事実が判明したとしています。リュウ氏は今年3月、電子回路の設計ツールを用いて、アップルの機密情報である回路図ファイルを使用したシミュレーションを実行したということです。
さらに当時のメッセージのやり取りから、リュウ氏が開発するAIプログラムがこのツールを操作し、結果を検証するよう学習していたことが確認されたとしています。アップルは、企業秘密がAIモデルに読み込まれ学習に利用された場合、「取り返しのつかない継続的な情報の拡散を招くおそれがある」と強い懸念を示しています。
また、この回路図のデータは、別のデスクトップ端末を通じてクラウドサービス「iCloud」で同期されていたことも判明しました。アップルは現在、このデスクトップ端末の提出も求めています。
アップルは今回の発見について、「被告側が無視してきたこの衝撃的な証拠は、早期の証拠開示がいかに急務であるかを示している。当社の企業秘密が実際に使用され、証拠が隠滅されつつある現状を裏付けるものだ」としています。今後の裁判の行方が注目されます。
